short story

□赤いハートの境界線
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「今日、先に帰っててくんねぇ…?」





蒸し暑い放課後。
今日は市中研とかゆう市内の先生等が集まって、話し合う日らしい。
そのせいで、部活は休み。
不機嫌な真田の顔が想像できた。


俺は、ブン太に一緒に帰ろうと誘うが、断られた。
そんなこと予想もしてなかったから、反応に困る。






「悪い、今日寄りたいとこがあって…」

「俺がおったら不都合?」

「いや、良いけど…」

「なん?」

「お前絶対浮くし、入りたくないって言うし」

「そんなん行ってみんと分からんよ」

「…じゃあ行くか」





不安そうなブン太をみて、どんな店なのかドキドキする。


ブン太の事だから、ケーキバイキング?
ファミレス?新しく出来たカフェか?
…あ、全部食べ物。

一人で話を繰り広げていたら、ブン太が立ち止まる。
同時に大きなため息が聞こえた


お、着いたか。

さあ、なんじゃろ…


「え……?」

「だから言ったのにさぁ…」


「」

目の前には、ドールハウスがモチーフの
全体的にピンクで、レースとりぼんとハートとそれから…
一瞬自分がおかしくなる様な気がした。
店員はみんなお人形のような、
ロリータ、ゴスロリ、和ロリの洋服を着て、
「いらっしゃいませ」と小さく微笑んでいる。






「あ、ブンちゃん。早かったわね?」

「おう。今日部活ねぇんだよ」

「ふふふ、そうだったの。あら?そちらは?」

「あー…恋人?」




コラコラコラ。
そんなこと言ったらびっくりしてお姉さん気絶するから、ブン太くん。
てか誰?俺そんな人知らんよ?
これはベタに恋人?それか姉…いや、ブン太に姉ちゃんはおらんかった…

わーまーくん泣いちゃうよー?
寧ろブン太くん啼かせちゃうよー?




「仁王、こいつ俺のイトコ」

「へ、?」

「だから、東詩織。大学2年」

「…あ、あのー、」

「…因みに恋人は女の人」





ほらっあそこに居る。
背の高い綺麗な女性を指差して、俺に説明した。
ああ、なるほど。だから驚かないわけだ。
でもまだ謎がある。




「…何しに来たん?」









  
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