□あなたのために
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私は、あなたのためなら命を投げ出してもいい・・・・・大好きなあなたのためだから。




「・・っ・・・・・」

ぽたぽたとおびただしい量の血が地面を染めている

「もう終わりか?」

刀をつえ代わりに身を起こそうとするが力が入らなく足から崩れていく

「脆弱な人間が、威勢を張って俺の妻を守るとか言っておきながら・・・」

風間の刀が振り上げられる

ザシュッ

鮮血が宙をまう

「とっさによけたか・・・」

一は首に振り下ろされる刀を寸前でよけたのだ

「・・・・」

「次で終わる・・・残念だったなぁ、お前は血を流しすぎた・・・もううごけまい」

「!!」

一に向ってもう一回振り下ろされる・・・今度こそよけきれない

(あいつを千鶴を守れないまま死ぬのか・・・)


グサッ

一の顔に血が降りかかる

「!!千鶴・・・」

「・・・女鬼」

千鶴は血を流しながら一に近づく

「斎藤さん・・傷を見せてください」

一の体に血の付いた手を当て目をつぶる・・・

「・・・私は、純潔の鬼・・・だから・・・・・私の血は傷をなおす」

そう言いながら千鶴は微笑む

「斎藤さん・・・一さん」

一の体の傷がどんどんなくなっていくが、千鶴の体からはとめどなく血が流れている

「おまえ、血が!」

「傷が治せるからと言っていいことばかりじゃないんです」

今にも泣きそうな顔をしている

「相手の傷を私の血で直すから、相手の傷が治るまでは・・・止まらない」

「!!」

「女鬼!おまえはこいつのために死ぬつもりか!」

風間が信じられないといった風で見つめる


「うっ・・・」

「千鶴!」

体が傾き倒れそうになるところを一が抱きとめる

「一さん・・・わたし・・・あな・・たのそばに・・居たかった」

「そばにいろ。いなくなるんじゃない」

目を見張る千鶴はそのあとふわりと微笑んだ

「今まで、あり・・が・・・とう」

こちらに伸びてきた手に自分の手を絡めた

「一さん・・・好き・・生きて」

「!!」

目を閉じた千鶴は一筋の涙を流すと、息を引き取った
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