おはなし
□そうそう、牧は学生だったよ。―体育祭編―
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体育祭のシーズンであります。
海南大付属高校でも、晴れやかに体育祭が行われておりました。
「いいお天気で良かったね、牧くん」
委員長が話しかけてきた。
「そうだな」
牧もすっきりと晴れた空を見上げた。
「牧くん、午前中の競技は何に出るんだっけ?」
「徒競走とクラス対抗リレーと、クラブ対抗リレー…」
「…」
走ってばっかりだ、と思ったが、二人とも何も言わなかった。
「牧さーん、クラブ対抗は、任して下さい!オレがぶっちぎりで牧さんにバトン渡しますよ!」
清田が叫んでいる。
それはそれでまた心配だ…。
ふーっとため息をつく牧。
「かわいいねぇ、清田くんだっけ」
と委員長。
「生意気だ」
と、答える牧。
「あのー、スミマセン」
後ろから遠慮がちに声をかけられたので、2人は同時に振り返った。