Novels Room2
□そんなはずがないと知っていても。
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昌浩の中を犯す紅蓮が、熱を上げ、硬さを増し、激しく昌浩を突き上げる。
「ぅ、あ…っ、ぐれ…!!も、…激し…っ!!」
一心不乱に腰を突き上げる紅蓮の下で、昌浩が逃げ場を求めるように衣へ爪を立てた。
それを見ていた紅蓮は、昌浩の喘声に煽られて、突き上げる速度をいや増す。
「…逃げるな、昌浩」
「あっ、んぅ…っ!!ひぁ、あ…っ!!」
昌浩の声は、もう言葉にならない。
仰け反る首筋に、白玉の汗と涙が伝う。
「――出すぞ…っ!!」
う、と紅蓮が小さく呻いた直後、熱いものが昌浩の中に溢れかえった。
「…は…、…ぐれ…ん…」
「昌浩…。望み通り、お前の中に出したぞ」
僅かにもたげた昌浩の顔が、一瞬で更に赤く染まる。
満足げに歪めた唇を、昌浩の潤んだ目に落とし、紅蓮は彼を強く抱き締めた。
達するとき、中に漏らさず出して欲しいと、そう頼んだのは他でもない昌浩自身だった。
肌を重ねるその行為が、男女ならばその愛の証を生す行為に繋がるけれど、同性同士の自分たちにはただの性欲を貪る行為にしかならない。
だから中に出されたところで興奮以外のなにものにならないと分かっていてが、それでもどうしてもそれを頼んだ。
――自分と紅蓮が愛し合っていた証が欲しい。
そのために。
自分はあと数十年すれば黄泉路を辿る。
しかし神将の紅蓮は、半永久的にその後も自分がいない日々を過ごす。
…それが、どうしても悲しかった。
紅蓮にとって自分は光だという。
ではその光が消えた後は、紅蓮はどうやって歩いていくのだろう。
その道が明るいものだといい。
でももし、暗闇だったなら。
せめて自分と愛し合った証があれば、彼の光とせめてなり得るのではないだろうか。
無理だと知っている。
自分の中に出されたところでなにもならない。
でも、それでも。
証が欲しいと、思うのを諦めることはしたくなかった。