WONDER RAIN

□手をつなごう(2周年記念)
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 シンクに押さえ付けられ真正面から唇を貪られる。角度を変える合間にはぁと息を吐いたら更に深く咥内を嬲られた。

「…おい、腰揺れてるぞ」

くっくっと笑われてカッと頬に熱が走る。さっき治めたはずの燻りにまた火が点いてしまったらしい。
ぐっと腰を引き寄せられ一騎さんのスラリとした太股に俺の高ぶりが押し付けられた。

「んぅッ」

張り詰めた脚の筋肉に擦られて、高ぶりが穿いている薄いジャージの生地を持ち上げる。

「感じ易いな、可愛い」

 腰を掴んでがくがく揺すぶられながら一騎の太股に乗り上げる形に抱えられた。嫌だ、逃げらんない。

「一騎さん…ッ、や、やだって」

服汚しちゃうかも…!

「構わない」

そう言って尚も激しく揺すぶられて目眩がする。ぐりぐりと双珠までも太股で擦られた。じわりと下着が濡れるのを感じて俺はきつく目を閉じる。

「夜風、目ぇ閉じんな」

嫌。無理。見たくないもん。

ふるふるとかぶりを振ったその時。突如ケータイの着信音が響いた。ダイニングテーブルの上で一騎さんのケータイがシャコンヌを奏でている。

「………ちッ」

渋々俺から身を剥がした一騎がケータイを手に取り、馴れた仕草で液晶パネルを開くとニヤリと口元を歪めた。

 震える俺を椅子に座らせ、囲うように覆い被さるとケータイの通話ボタンを押す。そしてそのまま肩と耳に挟んで、どうゆう訳か顔を俺の頬にぴたりとくっつけた。

『もっしもーし、一兄?』

俺の耳にも聞こえる、ケータイの向こう側。

『あれ?いちにぃー?』

雑多な喧騒の中、若く澄んだ男の声がする。

「んだよ、楓」

『なんだぁ、いるんじゃん!』

嘘…ッ、楓くん…!

 ケータイの相手は野茨家の末っ子だった。

『あのさ、俺部屋に…』

「今取り込み中だ」

一騎さんはあっさりそう言うと俺のジャージに手を掛けて、しとどに滴を零す高ぶりを引きずり出した。

「…ッ、ゃ」

 やばい。声を荒げてしまうと楓くんにまで届いてしまう…。俺は必死になって抵抗するが体格差が有りすぎて全く敵わない。
せめてもと声が洩れないように歯を食いしばろうとした瞬間。

「用事があるなら夜風に頼め。今代わる」

あろうことか通話中のケータイを俺に渡してきた。こ、この人何考えてんだよッ!

 ケータイからは『夜風さーん』と俺を呼ぶ声がする。赦しを請うように一騎さんを見上げるが、ただ愉しそうに目を細めて俺を見下ろすだけだった。

…出ればいいんだろ、出れば。こんちくしょう。

 恐る恐るケータイを耳に当てる。熱に浮されているとバレないよう慎重に、もしもしと声を掛けた。

『夜風さん?俺、楓っす』

「う、うん。どうしたの」

『俺ね、部屋にゲーム忘れてない?ケースだけ鞄に入ってんのー』

それを聞いて内心ほっとする。確認の為に此処から離れる事が出来る。この状況から逃げ出せるんだ…!

「分かった、今すぐ見に行っ、んぁ!」

それなのに、まさか返事の途中で声が上擦ってしまうとは。



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