WONDER RAIN
□手をつなごう(2周年記念)
2ページ/34ページ
手をつなごう
野茨家の朝は早いらしい。
幾つもの飲食店を経営する長男に華道の免許皆伝を持つ次男、調理師専門学校に通う三男と有名私立大学に通う四男。
そして五男、双子の六男七男は3人仲良く公立高校に通っていた。
「夜風さん、起きろよ」
ああ…、俺はとゆーと。
「侠兄が夜風さんの好きな出汁巻き玉子作ったから」
出汁巻き玉子…じゃなくて。俺はこの7人兄弟の家に下宿させてもらってる、朱屋夜風。長男の瀧さんが経営するカフェで働いてるんだ。
「アンタ、仕事休みの日くらい惰眠貪るの止めろよ」
うう〜、ほっとけぃ。休みだから貪るんだろーが。てかお前こそ勝手に部屋入ってくんな。障子戸だから音しないのがいけない。もおベッドに乗り上げてくんなぁ。
ギシリ。スプリングが深く軋む。顔を隠す布団を剥ぎ取られ、そのまま口を塞がれた。
「んんッ」
続いて寝巻きのボタンの隙間から冷たい指が入り込み、まだ柔らかい胸の先を掠めた。
ゆるゆると乳首の回りを撫でられ思わず目の前の腕を掴む。硬い感触は制服のブレザーだ。
「ひッ、…んぅ」
立ち上がった乳首を捏られて悲鳴めいた声が上がる。すかさず開いた咥内に舌が捩込まれてしまい、流石に眠気も吹っ飛んだ。
薄く目を開いて朝っぱらから俺を組み敷く相手を睨みつける。蒼く光る黒髪に男らしい鼻梁。眇めた瞳が憎たらしいコイツは五男の素直だ。
「ん、あ…ん」
ぬるりと口蓋を擽られ甘えた声が洩れる。
「早く起きねぇと朝飯冷めるぞ」
もう起きてるっつーの。
「はッ…、ダメだって」
朝飯冷めるとか言っておきながら素直は寝巻きのボタンを一つ外すと、その隙間から俺の乳首を暴き出して舐め始めた。
また柔らかく戻っていた胸の先端を素直の舌が丹念に舐めてゆく。背筋から尾てい骨にかけてゾクゾクとした痺れが駆け抜けて俺は背をしならせた。
「す、素直くん、学校…!」
あああヤバいよ勃っちゃうよ…!てか男の平たい胸に吸い付くな変態ー!吸われて反応するなよ俺の下半身ー!
「まだ大丈夫だから」
何が大丈夫なんだ何がッ。不本意ながら素直の太股に腰を押し付けてしまった。気付いた素直がふっと鼻で笑う。こ、こんちくしょう!
「アンタ乳首弱いよな」
「あぅッ」
ちゅるりと強く吸われてつい腰が揺れる。素直と1歳しか違わない俺はまだまだ性に幼い訳で。や、幼いのは俺だけか…。
要するに経験値が格段に違い過ぎるんだってば。野茨家の7人兄弟っつったらご近所でも有名な美形揃い、そりゃもぉ俺と違って万年モテ期でしょーよ!だからそっち方面の経験も免疫も人一倍。
お陰で何も知らない俺は毎日こうやって翻弄される始末…。
「ち、時間だ」
腕時計を確認して素直が起き上がる。さっと服装の乱れを正して、それじゃあ行ってきますと出ていった。
……ふ、普通に起こしてくれよ頼むからあああ!