小説『記憶』

□運命の人の救いの手
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【男性声優二人深夜に事故意識不明の重態】

翌朝 新聞などでシュウと熱田の事故は日本中に広がった。
【オタク少女たちのアイドル男性声優・宇佐愁星・熱田誠志郎の二人の意識不明の重態】

「えっ…」

菊田志織は、真っ青になって新聞を見いった。

「宇佐さんが、意識不明?」
「ママ、どうしたの」
「うん?…まぁくんは、早く学校に行くきましょう。」
「教えてくれたっていいじゃんか。もぅ…行ってきまーす」

菊田志織 主婦、子供がいながら、昔からの声優ファン。最近は宇佐愁星のファン。

「なんとかしなきゃ…でも、これは、仲間に頼めないし…」

志織は、ゆっくり深呼吸をして、パソコンの前に座った。

「急がなきゃ!兎に角
宇佐さんと熱田さんを救うべく仲間を集めなきゃ」

志織は、もの凄い速さで文章を綴った。

【宇佐愁星さんと熱田誠志郎さんを救おう】

★志織です。事故、驚きましたね。泣いたって、うろたえたって、なんの力にもなりません。
私と一緒に二人に愛の心を届けましょう!!
毎日近くの産土神社でお百度をしませんか
まず7日を目標に。
マナーとして…
祈り方は…★

菊田志織は、書き終えると、神社に向かった。
このブログは、日本中の宇佐、熱田ファンに知られ、
その日の昼には、あちらこちらの神社で、
一心に祈りながらお百度を踏む女性達の姿が溢れるように見られた。

その姿は、ワイドショーなどで連日伝えられ、シュウと熱田の関係者にも知れ渡った。

ブログでは、志織を中心にファン同士励まし合う文章が綴られた。

「みんな、呼びかけに応えてくれてるんだ…ん?」


★ありがとうございます株 ヴォイスマジック

「え?」



★志織様においては この度、宇佐愁星と熱田誠志郎の回復祈願を全国に呼びかけて頂きありがとうございます。
心より感謝申し上げます。現在の容態ですが


シュウの所属事務所からのメールに志織は驚いた。

「えっ…事務所の方からだ………熱田さんは、意識が戻ったけど、重傷、…宇佐さんは…そんな…」

シュウは、意識がまだ戻っていなかった。

グシャッと潰れた車に挟まれた為、体に相当な圧力が掛かっていた上、助手席に乗っていたシュウは、熱田より衝撃が大きかった為、危機的な状態だと言う。

「負けるもんか、絶対に救ってもらうんだ」

★緊急のお知らせとお願い

志織は、ブログで再度ブログで呼びかけた。
★皆さん、宇佐愁星さんが、まだ、意識が戻らないそうです。
明日から私は土下座お百度祈願に切り替えます。皆さんも、より一層の愛のお祈りをお願いします。
だけど絶対に「変わりに私を」と言う立て替え祈願は辞めて下さい。宇佐さんが苦しみますから

沢山の賛同のメールが届いた

★★★★★★
「ここは、どこだ、」

シュウは、広野を歩いていた

「熱田くーん」

呼んでも返事は無かった

「俺は…どうなったんだ。死んだ…のか」

不安になった。
数年前は死ぬ事を切望していたが
今は、毎日が充実していたし、仕事が詰まっていて、死んでなんか居られない。

「熱田ぁ!」

誰もいない。
涼やかな風が吹く向こうに 小さな白い馬が立っていた

「…!!」

白い馬は、翼を羽ばたかせて、こちらに向かって来る。
シュウの瞳から涙が溢れた。

「ケル…ビム★」

シュウは、走り出していた

「俺は…お前にずっと会いたかったんだぞぉ!」
「シュウ」

ケルビム★は、笑った。

「言ったでしょ?君は82才迄頑張らないとダメなんだって。さぁ、行こう。君を待っている人が沢山いるんだよ」
「あぁ」

シュウを背中に乗せ、光の中へ飛び立った。
眩しい光が顔にあたる…

「…ん」
「宇佐君!」
「愁星?」

目の前には、事務所の担当者と母親の顔があった
「ここは…」
「よかった…」
「先生を呼んできます」
「愁星…よかった…」
「お母さん…あ…熱田…は…」
「大丈夫。熱田さんは、意識が戻って、別の部屋にいるわよ。」

「そうか。よかった…」「…心配したんだから…」
「ごめん」

*******
ファン達の報告メールを読んでいたら、志織の元に事務所からのメールが届いていた。

★志織様
皆様の熱い愛の祈りが天に通じました。
宇佐愁星は、今朝意識を取り戻しました。
ご心配をおかけしました。2人共、まだ退院は出来ませんが、必ず復帰して皆様に喜んで頂ける活動をしていきたいと申しております。
本当にありがとうございました。

志織は、ファン達に、報告メールと事務所からのメールを添付して送った。
★皆様ありがとうございました 退院できて、素晴らしい作品を作ってくれますように引き続き、愛の祈りをお願いします 感謝のお祈りをお忘れなく。


事務所からのメールに志織と全国のファンは感動と喜びで涙が止まらなかった。

志織とファン達は 完全復帰を願い 一層 連日お百度を踏み続けた。

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