小説『記憶』

□変身へジャンプ
1ページ/1ページ

ケルビム★の背中に金色の翼が現れ大きく広がって、シュウを包んだ。

「…ケルビム★…」
「シュウ…あの御魂が、君を救うために、なぜあんな的確な事を示せたのかわかる?」
「…わからない」
「大天使ミカエルの位の境地でカシオペアの女神様の導きの元 この星の危急存亡を救う役割を担う大神使である人の仲間として、戦いではなく日々愛の祈りを捧げているからだよ」
「毎日神頼みか…?」
「本質はそんな薄っぺらなものではないよ。数万年間、愛と義で生きてきた御魂だから、大神使の元、一層磨いたから何の躊躇なく、お百度踏んだり土下座祈願したりできるんだ。深く大きな愛の基礎があるから、君たちのファンにも呼びかけられたんだ。」
「…」
「私は何もしていないのにって、言ったよね?」
「…あんなにしてくれたのに、何言ってんだと思った」
「神使の人たちってね、自分がしたから、なんて思わないんだよ。祈りを受け止めて叶えて下さったと思うから、いつまでも御魂は、汚れない。だから、天命もブレないから女神様たちにも愛されるんだ」
「俺は…」
「あの御魂と今世やっと出会えたけど、生きている事の目標も境地も君とは、違いすぎているんだ。
どんなに求めても、君とは再びすれ違ってしまう。悲しみが深くなるんだよ。」

「…もう、手遅れなのか…」
「君は、数万年も同じ過ちをしてきたんだ。変わらなきゃ変わらないよ」
「でも…」
「君が、あの御魂と同じ境地にならなければ、未来は変わらないんだ」
「同じ境地…?」
「電話かけて」
「え?」
「もう一度話してみて」

リダイアルを押したら
直ぐに志織が出た。

「宇佐さん?さっきは、すいません。、トンネルに入ってしまったんです」
「あの…」

ケルビムが横で聞いている。

「あの…菊田さんってどんな人なんですか」
「え?どうして?」
「いや。あの…神社のお祈りの仕方とか…知ってるってるから」
「ふふ…常識よ」
「そうなんですか」
「まぁ…最近は、知らない人多いかもね」
「あんなに長期間大変じゃなかったですか」
「うーん、いつもしてる事だから」
「いつも?」
「そう」
「趣味ですか?」
「趣味じゃないけど」
「じゃ…趣味って、なんですか。」
「趣味?読書と音楽鑑賞かな」
「どんな本読むんですか。俺、サスペンスなんか好きなんですよ」
「…古典を読むようにしているけど」
「源氏物語とかですか」「論語とか近思録とかかな」
「ぁ…。じゃぁ…音楽は」

「んークラシックとかオペラ」

「…あ…アニメは好きですか」
「アニメは…子供が観るから…」
「あの…じゃあ…俺達の事は何故ご存知なんですか」
「友達に借りたドラマCDを聴いて」
「そうなんですか!」
「学生時代に演劇をしていたから、声だけで演じる人 凄いなぁって」

やっと共通点が見つかったが、世界観の違いをはっきり感じたシュウ。
電話を切ってから、ケルビムが、「ねぇ」って顔をした。

「まず、論語から読む必要がありそうだね」
「はぁ。」
「流行り歌やアニソンも仕事だけにして。
あの人に影響されて変わっていくと、君の御魂のレベルも人間の幅も格段上がるよ」
「…うん。上がったら、すれ違わなくなるのか?」
「今までよりは…でも、今世、必要以上の繋がりを求めるのは危険だよ」「どうして?」
「前世は、最終的に死に別れてしまったから、今世はせめて、一生涯の親友とか同士にまでなれたら、君の御魂は悲しまずに救われるだろう。
来世…一緒に生まれ変われたらいいね…」
「いいねって…。いつも、一緒に生まれ変われただろ!?」
「…うん…シュウ、頑張ろ」
「あぁ」
「でも、まずは、発願しなきゃ。一声優で終わるのか、神使の役割のある声優になるのか。
発願したら、君の守護神を最大限に厳しい神様に変えて貰うように女神様にお願いしに行くから」
「…なんとかやってみるよ…。
世界中の人を救える役割のある世界唯一の声優にならせて…くだ…さい」
「うん…じゃあね。シュウ…頑張って」
「うん」
「…」
「どうした?」
「シュウ…」
「ん?」
「…元気でね…」
「え?」

ケルビムは、ペガサスになって 空へ昇っていった。

女神がケルビムを見つめていた。

「あなたは…。」
「申し訳ございません」「発願したけれども、全部話してしまっては、悟りにも何にもなってないわ。魂の境地としては、全く足りないままです」「…はい」
「暫く、北極星で修行をし直してきなさい」
「はい…あの」
「なにかしら」
「シュウの導きは」
「発願したので、後は、ミカエルが導きます。あなたがあえて決まりを無視して、望んだ通りに」
「はい…ありがとうございます」

ケルビム★は長期の修行に 北極星に向かった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ