小説・陽光に包まれて

□はるみつING
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「君の名前は、なんて言うのかね?」
「伊勢田はるみつです」
「はるみつ?」
「太陽の陽に光って書きます」
「そうか。じゃあ、辛いけど、明るく生きなきゃダメだね」
「…」
「名前は、ご両親の願いが込められているんだよ」
「はい…知ってます」
「それだけの意味だけじゃない。その名前が付けられたって事は、君には生まれた時には、それが皆無か少ないと言うことにも取れる。
晩年、名前に相応しい人に成れるよう、突き進んでいくテーマでもあるんだよ。」
「テーマ?」
「生きていく目標だよ」
「生きていく目標…」
「陽の光みたいになって欲しい。ご両親の願いだね。陽気で光かがやく人になって欲しい。」
「…」
「太陽の光は、キラキラしているけど、熱すぎる事もある。だから、はるみつ」
「はるみつ…」
「春の陽の光は、暖かく、凍えた土地が命を芽吹ようなエネルギーに満ち溢れているけれど、決して、強すぎない。
優しく心中に、染み込むように温めるんだ。
君が生まれてきた意味は、私には解らない。
だけどね、君が生きる意味は、ちゃんと名前の中にあるんだよ。
そして、そのテーマに突き進んで生きて、初めて君が、生まれてきた意味のある人物だったか、決まるんじゃないかな?」
「!!!」
「今、死んでしまったら、結果も出さないで、もったいないじゃないか。君が、その名前に相応しい人になる努力をすると、私に約束してくれるんなら、私は精一杯、応援したいと思うよ」
「宗像先生…」
「精一杯勉強して、答えを出してご覧」
「…はい。ありがとうございます。僕…頑張ってみます。」
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