小説・陽光に包まれて

□circle of blue
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「一人ぼっちじゃないから」って言ってたのに、どうして信じられないの?
何があったの?
「私は…涼介とかみたいに、人を裏切ったりしたくない。…伊勢田君…私に優しくしてくれて、助けてくれたもん。伊勢田君が、信じてくれなくても、私は、伊勢田君を信じたいし、裏切ったりしたくない。」
ずっと日差しをくれていた伊勢田君が、悲しい顔で震えている。
震えてる両手を掴んだら…冷たかった。
え?どうして?
「ごめん。…君に笑って欲しかったのに…。やっぱり、僕は…まだ…だめなんだ…。結局、君を傷つけてしまった…。
…まだ…だめなんだ。」
「…伊勢田君」
私の手を振り切って、教授室を出ていってしまった。
春は…春の日溜まりは…、私の冬を解かしかけて、悲しみ色の雲に隠されてしまった。



続く
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