小説『記憶』

□原点の記憶
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「芝居は、勉強したことはあるけど、俳優が沢山いるのに、なんで俺なんだ?で、どんな映画のどんな役?」
「戦闘ものです」
「戦いもの…」
「20才で両親はなく、10才の弟がいる設定になってます」
「うん…」
「宇佐さんが、戦闘ものが嫌いなのは承知していますが…」
「解った…。仕事を頂けると言うのに、お断りするわけにもいかないから」
「では、このお話を勧めていいですね」
「はい…」

数日で脚本の一部が届き、顔合わせ 立ち稽古などスケジュールは進んでいった。


『志織さん、今度映画に出ることになりました。挿入歌も歌わせてくれるようです。俺の歌、聴いて欲しいんで、レコーディングの日来てくれませんか。困らせないようにしますから…。』

久しぶりにメールを送った。
以前、志織からの電話を切ってしまってから、お互いに一切連絡を取らなかったから、返信をくれるか不安だったが、
志織からのメールは、直ぐに帰ってきた。

『新しい事に挑戦されてるんですね。元気にしていらっしゃるんだと安心しました。
宇佐さんの歌は、聴いたことがないので、是非生で聴かせて頂きたいですが、私みたいな部外者がいてもいいのでしょうか』
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