◇ 拝殿 ◇
□海の思い出
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「ちょっ・・・と・・・痛いよ燐那。引っ張らないで。」
顔をしかめながらその女の子は言った。
「あとちょっとだから。」
痛そうにするその子をよそに燐那と呼ばれた女の子は青い物がちらつく道をずんずんと進んでいった。
「着いた。柊ちゃん、目あけて良いよ。」
ずっと瞑っていた目をゆっくり開けると、強い日差しが柊の目を直撃した。しかし、思い切って開けてみるとその先にあったのは青い海だった。
「ねえ、燐那・・・・ここって・・・。」
「海だよ。柊一回も来たこと無いでしょ?無理矢理連れてこないと家からでないんだもん。」
「だって・・・・・。」
初めて見た海。歩いて来られる距離にあるのに一度も来たことの無かった海。
空よりも青くて、澄んでいる海。
「綺麗だね・・・・・。」
「でしょ?」
初めて見た海に目を奪われている柊に得意げに燐那が言った。