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□【笑顔で共に】215/10/29
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【笑顔で共に】


テビューして20年…色々とあったが共に居ることがこんなにも感慨深いものなんだと改めて気付かされた。

それぞれ大人になると共に出会いも別れも経験して少しずつ歳を経て成長し、昔は意見のぶつかり合いもあったりして考えの違いに悩んだりもした。


「ーーーーでも誰一人として脱退することもなく切磋琢磨しながら個人でもグループとしても支え合ってきたんだよな…」

「どうしたの?いきなり感傷に浸っちゃって…」

「いや…20年って長いんだけどあっという間に感じてさ」

「あぁ〜サカモトくんはもうおじいちゃんだからね」

「おいっ」

サカモトから聞こえた呟きにケンがにやにやと笑いながらその背中に抱き着いた。

「こら重いんですけど」

「えぇ?こんなプリチィな俺が抱き着いてるのに重いって失礼じゃない?」

「プリチィって…今じゃ死語なんじゃねぇの?」

「うるさい」

「あーっケンちゃんが浮気してる?!」

「イノハラうるさい」

「ケンちゃ〜ん抱き着くなら俺にしてよぉ」

「やだ」

楽屋に入ってきたイノハラは両手を広げてケンを誘うがフンッとケンは相手にせず更にサカモトに抱き着く力を強める。


「いだだだっ!?ケン痛いっ」

「これも愛の力さ☆」

「嬉しくねぇよ」

はぁ〜と溜め息を吐いたサカモトはケンの嬉しそうな顔を見ながら笑みを浮かべた。

「サカモト君がヤラシイ顔してる〜」

「するかバカ」

「何騒いでるの?楽屋の外にも聞こえてるよ」

サカモトが呆れた表情でイノハラを睨むと撮影から戻ったナガノとオカダとゴウが中へと入ってきた。

「あれ?ケンくん浮気してる」

「そうなのよ!俺と言うものがいながらに筋肉ナルシスト親父の所に行くなんてっ」

「イノハラ……お前から悪意を感じるぞ」

おいおいと泣き真似をするイノハラの頭を撫でながらオカダはケンとサカモトを見つめている。

「まぁまぁサカモト君がケンから愛されてるのはいつもの事だし、イノハラを相手にしないのもいつもの事でしょ」

「ナガノくん何気に酷いっ!!」

追い討ちをかけるように笑いながら軽く毒を吐くナガノにイノハラはオカダに抱き付いた。

「傷ついた俺を慰めて…オカダ」

「ごめん、俺も抱き着くならサカモト君がいい」

「裏切り者〜っ」

ワイワイと騒ぐイノハラ達を見ながらゴウは密かにサカモトの隣に腰を下ろして雑誌を読み始めた。

「ってかゴウちゃんまでいつのまにかサカモトくんの隣にいるし!」

「あっほんとだ!」

「うるさい」

目敏いイノハラとケンを一瞥したゴウはサカモトの太ももを枕がわりにして寝そべった。

普段なら絶対にしないだろうことをしたゴウに思わず皆が目を見開く。

「ゴウ、ずるいっ!」

「………………」

抱き着いたまま離れないケンに“お前に言われても…”と内心苦笑するサカモトはゴウの頭をそっと撫でた。

珍しく6人一緒の楽屋だからこそ普段見ることのない場面ではあるが皆なんやかんやでサカモトが好きなのである。

いつのまにかサカモトを中心に集まり次第にサカモト争奪戦になるのも時間の問題だった。


「お前らいい加減にしろ〜っ」



サカモトは感傷的な感情に浸るのも忘れて笑いと一騒動が繰り返される日々がずっと続いたらいいなとそれぞれの顔を見つめながらそう思った。




おわり

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