S S
□【がんばれお兄ちゃん】2015/11/23
1ページ/1ページ
【がんばれお兄ちゃん】
「さて問題です。11月23日はなんの日でしょうか?!」
「何?いきなり」
「簡単じゃん勤労感謝の日でしょ」
いつもよりテンションの高いイノハラから出された問題にゴウは訝しそうに眉を寄せ、ケンはハイハイと手をあげて答えた。
「それはそうだけど…それ以外にもあるんです!さて何でしょう?」
「それ以外?」
「………何かあったっけ?」
ゴウとケンは首を傾げながら顔を見合わせるとイノハラはニコニコと笑顔で見つめる。
「…………腹へった…」
「オカダ今は空気読もうね」
「………でもイノッチ…俺腹へったから答えられん」
「後でバナナあげるからちゃんと考えてよ!」
「えー…めんどくさい」
「オカダのバカッ」
「……………あっわかった!」
「はい何何?ケンちゃん」
「答えは……“良いお兄さん”の日でしょ」
「ピンポーン!大〜正〜解♪」
「なんだ語呂合わせかよ」
呆れるゴウと正解を答えたケンの頭を嬉しそうに撫でるイノハラとの温度差は雲泥の差だった。
「フフフッってなことで〜☆」
「もう離してよ〜っ」
「今日は良いお兄ちゃんの日なんで…3人は今日俺のことお兄ちゃんと呼びなさい♪」
「「「………………………………」」」
イノハラの言葉に3人は顔を見合わせ其々がため息を吐いた。
「やだよ」
「今更だし、イノハラくんのことお兄ちゃんって呼ぶのもちょっと…ね」
「イノッチはイノッチやし」
「お願いだから…“お兄ちゃん”ってよんでよぉ〜っ」
必死のイノハラに3人はどうしようかな〜といった風にニヤニヤ笑っていると楽屋のドアが開いた。
「お前らもうすぐ撮影の時間だぞ」
「二人一組でのインタビューだってさ」
サカモトとナガノが先に取材を済ませて戻ってきたのでケンは嬉しそうにサカモトに抱きついた。
「マサにい〜っ」
「はあ?!」
思わず固まるサカモトにお構い無しにケンはサカモトの胸元で頭をグリグリしながらもう一度呼んだ。
「マサにぃ、大好きだよ♪」
「「……………」」
サカモトはナガノに目をやるとナガノも首を傾げながらもいそいそとスマホで撮影を始めていた。
「あの…ケン?どうしたんだ…?」
「えへへ今日はなんの日でしょうか??」
「は?何って…祝日だろ?」
「それ以外にもあるの!」
「??」
サカモトが首を傾げているのを嬉しそうに見上げているケンをゴウが睨みながら割って入った。
「ケン…お前調子のりすぎ」
「いいじゃん減るもんじゃないし」
「減る」
「ケンくんだけずるい」
「のわっ」
後ろから抱きついたオカダも「まぁくん」と甘えるように背中に顔を埋めてきた。
「なんなんだよ…いったい」
訳が解らずどうしていいのか解らないサカモトはイノハラに助けを求めるように顔を向けた。
「………………………」
するとイノハラは下を向きぶるぶると震えながら握り拳をつくっている。
「イノハラ?」
「〜〜っサカモトくんだけずるい!!俺もお兄ちゃんって呼ばれたいのにぃ〜っ」
と悔しそうに叫びながらケンの背中に勢いよく抱きついた。
「ちょっとイノハラくん痛いっ」
「ケンちゃ〜ん…俺もお兄ちゃんって呼んでよぉ」
「やだ!イノハラくんはイノハラくんだもん」
「オカダ〜ッ」
「今更だし、イノッチでいいじゃん」
「ゴウちゃ〜ん」
「却下」
アウアウと涙目のイノハラに誰一人として“お兄ちゃん”と呼ぶものはいなかった。
語呂合わせだという内容を漸く知ったサカモトとナガノは苦笑しながらも成る程と理解した。
「ねぇなら俺はなんて呼んでくれるの?」
「ナガノくんはやっぱり“ヒロにぃ”かな」
「ヒロにぃか…なんかくすぐったいね」
サカモトとナガノだけにはちゃんと兄のように呼ぶケンに肩を落とすイノハラだった。
もちろんカミッ子3人はイノハラのこともちゃんと兄のように慕っているがイノハラが喜びそうなことを態々するつもりはないようだ。
「…………やれやれ」
「まぁ3人ともイノハラが大好きだからねぇ」
天の邪鬼な3人にとことん遊ばれるイノハラを密かに同情する上二人だった。
おわり