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□【小さな優しさ】2010/03/28up!
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【小さな優しさ】



触れたいのに触れられなくて…傍にいたいのにソワソワして落ち着けず、結局微妙な距離を置いてしまう……


「……ハァ…」

「ん?どうしたの?ため息なんかついちゃって…」

「別に…なんでもねぇよ」

「へんなゴウ…あっサカモトくん!」

「っ!」


最近のゴウの様子に首を傾げていたケンだったが直ぐに楽屋に入ってきたサカモトに目が移ったことでゴウの僅かな変化に気付かなかった。


「おはよう」

「おっはよ〜!」

「お前はいつも元気だなぁ」

「うわっ今の発言サカモトくんじじくさっ」

「うっせぇ」


元気に抱き付いてきたケンに苦笑しながら頭をヨシヨシと撫でるサカモトにケンは嬉しそうに笑っているのをゴウはチラッと一瞥した。


「………」

―――俺もケンみたいに素直だったらあんな風にサカモトくんに甘える事が出来たのだろう?……否、きっと俺では無理だ…


ゴウは心の中で自問自答し想像もつかない自分の有り得ない考えに自嘲気味に口角を上げると2人から目を逸らした。


「ゴウ」

「……何?」

「あとでお前に話があるんだけど…ちょっといいか?」


「別にいいけど…話って何?」

「あとでな」


サカモトがフッと目を細め柔らかい笑みを浮かべるとゴウはドキッと僅かに胸が高鳴るのを感じた。


収録後、それぞれが仕事や自宅へと向かうのを見送ったゴウは仕事の事でマネージャーと打ち合わせしているサカモトをジッと見つめながら待っていた。


「お待たせ…わりぃな」

「…ううん」


軽く謝りながらゴウの隣りに腰を下ろしたサカモトにゴウはドキンと胸が高鳴り慌てて顔を逸らした。


「「…………」」


2人きりの楽屋に先ほどまでの賑やかさはなく静まり返って逆に自分の心臓の音がサカモトに聞こえるのではないかとゴウは焦った。


「あのさ…」

「…っなっなに?」


若干声が裏返ってしまったゴウにサカモトはクスッと口元を緩めながらゴウの髪にそっと触れると優しく撫でた。


「そんなに緊張するなよ」

「してないよっ」

「そっか?」

「んで話ってなんなんだよ」

「ああ……あのさ…何か悩んでいることとかないかと思ってさ」

「………え…」


「たぶんゴウは悩みとか人には言わないと思うけど…もしどうしても辛くなったら一人で考えないで愚痴でも何でもいいから何か言って欲しいんだ」

「…………」

「一人で抱えてないでさ…役にたたないかもしれないけど少しでも相談してくれたら嬉しい」


ゴウがチラッとサカモトに目を向けると真剣な表情でゴウをジッと見つめるサカモトと目が合った。


「なんか悩んでるような気がしてさ…もし違うんならごめんな?」

「……」


サカモトの優しい眼差しと心に響く心地良い声音がスッと胸に届きゴウはそんなサカモトから目を逸らすことが出来なかった。


「ゴウは人前で誰かに甘えたりとかしないから…少しくらい甘えたりしても良いんだぜ?」

「……っ…」


「こんな風に2人きりの時とか…さ…嫌か?」


サカモトの言葉にゴウは困惑しつつもただジッと見つめ返すしか出来ずサカモトは苦笑しながらゴウの髪をくしゃっと撫でた。

「ゴウはゴウのままで良いんだから余り無理だけはするなよ」

「……うん…」

「よし…んじゃ帰るか」


ゴウの頭から手を離した立ち上がろうとしたサカモトの手をとっさに掴んだゴウに


一瞬目を見開いたサカモトにゴウはうっすらと頬を染めながら小さく呟いた。


「……もう少しだけ…一緒にいたい…」


サカモトは緩く握りしめる手を振り払う筈がなく優しく微笑みながら腰を下ろしゴウの頭をそっと抱き寄せるとゴウの耳元に囁いた。


「ありがとう…ゴウ」

「………」


ゴウは真っ赤になりながらも微笑むサカモトにはにかみそっとサカモトの肩に顔を埋めた。


――偶には素直になっても良いのかもしれない……サカモトくんの前だけなら…



ゴウは敢えて何も言わなくてもただ隣りに居ることが出来るのならそれだけでささやかだけど幸せを感じられるような気がした。





end



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