ノベルレビュー

□みどりと黒いシロ
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管理人的評価
文章力    70点
構成力    70点
キャラメイク 75点
独自性    75点
総合     73点
―猫の視点で描いた愛の物語―
ケータイノベルのレビューが続きます。第3回目は、「みどりと黒いシロ」。猫の目線によって描かれると言う、一風変わった物語です。
主人公を猫にすると想像で書かねばならない部分もあり、難しいと思うんですが・・・。この作者さんはうまく描写していると思いました。正直、自分じゃ絶対に真似できません。ネコパンチを真剣に繰り出すシーンや、妹に、○○○○○に入っておくよう指示するシーンなんかは実にほほえましいですね。作者さんの想像力の高さが覗えます。
また、文章力もなかなか高いです。猫の視点で見る風景をしっかりと描いています。字数が多いと敬遠されやすいケータイノベルでは、こういう小さなところまで描がきにくいと思います。しかし、こういう描写が不足すると、作品が薄っぺらく感じてしまうので、重要な点だと思います。
さて、ちょっと気になったことなのですが・・・、まず、いくつか誤字が見られたのは残念でしたね。「開放→解放」など。誤字というのは基本的なミスなので、もったいないです。
もうひとつ。シロの生き方に影響を与えた「事件」について、後半は一切触れられないのが残念でした。「人間を嫌わなければならない。」という一種の強迫観念を持つことが、○の供養になる、と考えていたのは納得できますが、心を開いた後だからと言って一切○のことに触れない、っていうのが少し寂しい気がします。その程度の気持ちだったのか?って気がしてしまいました。「事件」は割と衝撃的だったし、○の存在は大きかったはず、と思っていたので、シロに感情移入できず、置いてけぼりをくらった気がしました。
いつものように欠点も言わせてもらいましたが、ここまでの3つの作品の中では一番よいと思う作品です。シロのけなげな姿が生む感動はなかなかのもので、これなら書籍化するのも納得です。「みどりと黒いシロ」という題名からも作者さんのセンスの高さを感じますので、今後の活動に期待させていただきたいと思います。よい作品をありがとうございました。

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