ノベルレビュー

□母の恋人
1ページ/1ページ

管理人的評価
文章力    68点
構成力    72点
キャラメイク 70点
独自性    70点
総合     70点
―女性的な感性が光る、恋愛小説―
さて、久しぶりのレビューはまたもケータイノベルから。作者さんのセンスと伏線が見事な、「母の恋人」のレビューです。
さて、一番に目に付くのは、そのドライな文体。ぽつぽつと状況を語る文章は、真弓の中の孤独をうまく表現しており、作品全体にシリアスなムードが漂っています。この文体はストーリーにうまくマッチしていると感じました。
また、作者さんのセンスの賜物でしょうか、所々に唸らされるような表現が見られます。特に
「女は、それが真実だから信じるんじゃない。理屈じゃなく、それを信じたいから信じるんだ。」
という文章には、誰もがセンスの良さを感じたのではないでしょうか?この独特のセンスは山田詠美に似たものを感じました。これなら若い女の子を夢中にさせるだろうという印象です。
さらに、この作品には大きな伏線が敷いてあります。日記、そして真弓の言動から、読者も周囲を敵視するよう仕向けられているのですが・・・。中でも、「時限爆弾」には素直に驚きました。ここらへんもいいアクセントになっていて、作品全体の面白さをぐっと高めています。
さて、残念な側面についてなんですが、やはり日記の中での話なのか、それとも真弓が語っている話なのか、という境界が分かりづらかったですね。特に(8)の3ページの冒頭部分は、注意しないと勘違いしそうです。作者さんなりのこだわりがあったのかもしれませんが、やはり無駄に難解にしているような気がして、読み進めにくかったです。
あとは、文章が読みにくい部分があったことが気になりました。特に序盤。
「世間体を気にした父は、猛烈に反対したが、そんな自分は世間では不倫なんて言われる、人の道から外れたことをしているから勝手過ぎる。」
こんな感じで、無理やり一文にまとめたような文章が目に付きました。分かるんだけど、一瞬「ん?」ってなる文章。「境界」の問題もありましたし、ちょっと気になってすらすら読めませんでした。ああいうところは2文に分けて整理しても、よかったと思います。
ラストは賛否両論ありそうですが、大人のちょっと危険な恋愛を楽しんでいた人にとっては、切なくも美しい結末となったのではないでしょうか?管理人にとっては、「肇、そりゃないだろう!?」ってほどの衝撃でしたがwケータイノベルはホントいろいろな方が書いておられるな、と感動します。女の子なら共感できる人も多いのではないかと思うこの作品。伏線の張り方なんかはいい勉強になりました。作者さん、ありがとうございました。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ