□閉ざしたら雨天
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あの日から土方は意中の相手と口を聞いていない。意中とはいえども好意ではなく、ただ気になる相手である。

その相手といえばその後何があるでもなく原田と遅くまで呑みに行ったり、すっからかんだった部屋が知らぬ間にガ〇ダムのフィギュアで埋め尽くされていたり、食堂で残ったお釜のご飯を食べ尽くしたり。
要は討伐前と変わらないということだけだ。


あの時の一瞬でも気を緩めたら崩れていってしまいそうな様子は人欠片も感じさせず、もしかしたらあれは勘違いだったのかもしれないと思わせた。


「あ、土方さん。お疲れ様。」

「あぁ。」


食堂で土方スペシャルを食べていたところにその意中の彼。更信ツヅキは日替わりランチを持って現れた。


隣に腰掛けた更信は土方スペシャルに一瞬顔を歪ませたが、スッと視線をそらし自らの特盛日替わりランチを食べ始めた。


「オイっ!てめェ今土方スペシャルをすごい顔で見てたな!」

「いや、んな脂。よく食えんなとは思ったけど。キモいけど。俺が食うもんじゃねぇし、良くも悪くも興味が無くなったつか。」


土方は思わず机を叩いた。


「土方スペシャルがキモイだと!この旨さをしらねェから言えるんだ!1度食ってみろ!」

「い、いや!自分の趣向を他人に押し付けんなって!俺はマヨ派じゃなくて塩派だから!」


土方が懐から取り出したマヨネーズを見て更信は白米の乗った茶碗を思わず土方から遠ざけた。
そのことにより少し気が収まったのかマヨネーズを机の上に置く。


「あ、そいや、近藤さん。いまどこにいんのか知ってる?」

「あ?あー、近藤さんなら執務室にいたけど。」


そっかー、と呟いた更信はその後ご飯に集中し始めあまり喋らなくなった。


「(…とことん、マイペースだな。)」


そして、ご飯をかきこむと土方にお先に、と声をかけ先に出ていく。
土方は土方スペシャルを食べながら、討伐の時もきっと気分だったんだろう。と結論付けた。







ートントン


「どーぞー」


襖をノックする音に疲労のためかしゃがれた声で近藤は返事をする。
その声にスッと襖を開いて入ってきたのは更信である。


「あれ、更信くんどうした?」


ふと顔を上げた先にはいつもと変わらない無表情でマルボロを加えた更信でその表情からは何かをうかがい知ることは出来ない。


「近藤さん、相談が。」








「…うーん、まぁ無理にとは言わないが…パソコン入力は出来るかい?」


「あぁ。出来る。」


近藤はその相談に顔をしかめた。土方からの報告ではかなり優秀な拳銃使いであることはわかったがその彼が一線から外れたいとの申し出があったからである。

松平からあまり無理に働かさないでやってくれとの指示もあり、その相談を無碍にすることも出来ず不足しているIT関係の仕事を提案をした。






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