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□こうして朝は来る
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「よーし!各自配置に付いたな。」
真選組副長である土方十四郎は無線機を使い各隊員に指示を下した。
今日の対峙は攘夷浪士とは少し離れたあるファミリーの幹部らの逮捕を目的とするものだった。
ファミリー内の幹部ら数名とその部下たちが攘夷浪士との関わりがあることがわかりそれに対する逮捕状が松平片栗虎から直々に手渡しされたのだ。
「突入す…………ッッ!!」
ーーードドドドドガッシャパンッッ!!!!
余りもの重なる銃声に思わず今から飛び込もうとしている扉を見たまま隊員たちは呆けた。
銃声がなりやみ数秒たったところで正気に戻った土方が再度突入の指示をする、その声音には若干の焦りが混じっていた。
「各員突入!!!!」
ーーバンッ!!
「「「……………っ!!!」」」
そこには血の海があった。
その中心には一人の男とそれを抱えるようにして胸元に力なくうずくまる男、そしてそれを取り囲むようにして数名の男。倒れている数名の男がいた。
「掛かれっ!!」
呆気にとられている隊員らを鼓舞するように土方が怒鳴った。
そこでハッとした隊員らは回りを取り囲む男たちに向かいだした。
『……………Don.Please open eyes.Please…….Don?Don?Please get up.』
土方はその対峙のなかで見たうずくまる男の声を聞いた。
英語で何を言っているかはわからないが、大事な人だと言うことはわかった。
そして、男の抱いている人物に目が止まった。
「ファミリーのボス…だよな…?」
男と目があった。おもわず、吸い込まれてしまいそうなエメラルドグリーンの瞳に白いまつげ、えんじ色の短い髪の毛。わずか数秒の出来事が土方のなかでは数時間に思えた。
「(…んだ、この眼)」
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