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□嫌いな食べ物と好き
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「はぁ」
真選組副長、土方十四郎は目の前の資料にため息をついた。
更信は何故か松平片栗虎が保護責任者になり現在ここ真選組で隊員として働いているが沖田以上に仕事はしない稽古もしない基本寝ているか猫と戯れているか食べているかの3つしかしない。
そう、そして資料を届けに来た更信はあろうことか副長の執務室で寝ているのだ。
大量の紙の山をもろともせず堂々とした姿に土方は怒りを通り越してあきれを覚えた。
そして、小さく丸々目の前の少年を見つめた。
““男姓じゃないですかィ?””
こんなガキが。土方は心の底から思った。
あれだけの執着心を持ってしてただの男姓なんてある訳がない。あのファミリーの幹部かもしれない。そんな男を何故松平は置くのか。
いろいろな疑念を持ちながらも見つめた、えんじ色をした髪の毛に白いまつげそしてあの吸い込まれてしまいそうなエメラルドグリーンの瞳。
「…ッ、何を考えてるんだ俺は」
思わずあのボスとの行為を想像してしまいそうになりごまかすために煙草に火をつけた。
「…………ド、ン…」
作業を開始した束の間、声がしたのでその方を向けば相変わらず瞼は落ちており寝言だと気がつく。
そして、その瞼から涙が落ちていることに気がついた。
「オイ」
土方は思わず更信の体を揺さぶり起こした。
「…なに……」
「何じゃねーだろ!仕事にもどれ、ここは昼寝の場所じゃねェ」
機嫌の悪そうな声に持っていた資料で頭を叩くと出てけと追っ払った。
ーーガラガラ
眠そうにしながら出ていく姿を見届ければ大きなドクンと自らに聞こえる心臓の音に深呼吸をし治りかけの掌の傷を眺めた。
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