□エメラルドグリーン
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「はぁ…」

土方は先程まで行われていた稽古を思い出し執務室での作業に集中ができていなかった。






竹刀を構えた姿を見て土方は心の中で精通しているとわかった。そもそも、マフィア関係者だったわけで刀銃を使っているのは想像はできていた。


そして、稽古には圧巻された。
感覚を確かめるような竹刀の振り後の武田への防衛。
武田は隊長格でありもちろん対峙に関しても慣れていて見学していた全員が武田の勝利を確信していた中での防衛からの反撃。


「なっ……!」


あまりにもの速さに目がついていけていなかった。
稽古場の人達はあまりにもあっけなく終わった勝負に阿呆けている。


ーゾワッ


原田と土方は思わず身構えた。
どことなく溢れる殺気に。

その根源にたどり着くまでにはしばらくかかった。

「更信……か……?」


お押し倒したままでいた更信をしばらくたってハッとした武田が押し出し体格差の大きい2人なため更信はされるがままに上からどいた。

武田はパンパンと隊服のホコリを落としながらから笑いをし竹刀を後輩に渡した。


「な、なにこんな稽古で本気になってんの?えらいね?ねぇ、土方さん。」


土方は急にふられて脳が付いていけず更信を見ながら黙っているとそれに間髪入れず視線の先の彼が放った。


「お前の戦う場所はここじゃない、死に場だ。」


その時にさらに殺気が高まったかと思うとそれはすぐに消える、視線は彼から外れることがなかった。

その彼は左膝を付き丁寧に竹刀を置くと
おもむろに武田に近づき手を出したのを見て武田もその道場内の人が頭を傾げる。カード。とだけいう彼にまだ己の思考回路が付いていけずその様子だけを見ていれば、武田はおもむろに懐から財布を出しクレジットカードを渡した。

無邪気に笑った更信はカードにキスを落とし土方と原田の方を見た。

「うっし、原田さん土方さん。飲みいこ。俺の奢り。」




ということがあったのだがそれにたしいてどうしても疑問があった。
それはファミリーにいてドンと親しい間柄刀銃の知識があるにもかかわらず事前の松平片栗虎から渡された資料にも、観察の山崎退の調査資料にも一切更信の文献の記載はなかったのだ。

男娼といえばそれで終わりだがその者にわざわざ刀銃を教えるだろうか。
さらにあれほどのレベルの刀使い、沖田でさえ叶わないだろうと思われた。


「あいつは一体なんなんだ。」


エメラルドグリーンに塗りつぶされた瞳が頭から離れない。
さらに毛髪は赤いがまつげは白い。

彼が何者なのかと目の前の資料よりもそちらがきになり手がつかなかった。

実と言えば彼の入隊後すぐに山崎に対して調べるよう頼んだが仕事の合間というのもあってか1ヶ月たったというのにも関わらず彼のことについての調査報告はまだ上がっていなかった。


「クソ………」


一読考え出すと目の前の大量の紙など構っている余裕もなくなりイライラが募る。

そこに控えめな山崎の声が聞こえた。

「土方副長……彼についての資料お持ちしました。」


噂をすればなんとやら山崎退が入れと言う声にフ襖を開けた。


「更信か?」

「はい。更信の所属していたと思われるファミリーや敵対関係にあった者たちに話を聞いてきましたがかなり情報はなかったです。」


スッと出された紙は普段の資料と比べかなり薄く確認すれば二枚にとどまっていた。


「いや、これで十分だ。」

「では、失礼します、が。副長。………いえ、なんでもないです。失礼しました。」


言葉の続きを聞こうと止めようとしたがその余裕もないほどに彼は素早く部屋を出た。





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