夜蝶星流

□二人
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月詠は屋根の上に立ち煙管をふかしていた


『頭〜。』

「なんじゃ気持ち悪い。」


『気持ち悪いって何だよ。』


後ろから来た星斗は月詠の隣に座る

「何の用じゃ。」

『別に無いけど、』


星斗は上を見上げる

『つくづく…地上とは違うねェ。』


月詠は星斗を見る

「わっちは地上の事を覚えてない、違いがわからん。」

『ここよりはいいね。』


「やはり太陽か。」

『いや、人情。』


「…そうか。」

月詠も座り吉原を見渡す


『月詠も地上に連れてきたいよ。』

「わっちにはここでの仕事がある、それに…」


『ここも自由になればいいのになァ。』


ニッコリと微笑み月詠の髪を撫でる


「…今はぬしが居ればいい。」


『そっか。』


星斗は月詠がくわえている煙管を奪う


「なんじゃ。」

『見たくなった。』


星斗は興味津々で煙管を見る


「わっちが吸い出した頃もそんな事していたな。」


『そーだっけ?』


星斗は煙管をくわえた


『ゲホッゴホッっ』


「ぬしにはまだ早い。」

星斗の背中を擦りながら煙管を奪う

『年下扱いしやがって…』


「年下じゃろ。」

涙目で睨む星斗に笑顔で返す


『下って言ったって…そんな変わんねーよ。』


拗ねてそっぽを向く星斗

「ハイハイ、わかったから拗ねるな。」


頭を撫でられ口を尖らせ月詠を見る


『おばさん。』


「刺すぞ。」


『すいませんでした。』


ボソッと呟いたが殺気のこもった笑顔に思わず冷や汗


月詠は星斗の様子を伺いながら出したクナイをしまう


『…嫌な予感がするんだ。』


星斗を見ると体育座りをし不安そうに景色を見ていた


それは幼い頃と変わらない


不安になった星斗がする姿勢だった

「…何がじゃ。」

『わからない、何かが起こるような気がする。』


星斗の視線には大事そうに自分の懐を握る男の子の姿があった








 
 

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