夜蝶星流

□昔
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毎日


毎日


一緒に遊んでいた


でも


そんな毎日が


突然壊された


「星斗。」

『あ、月詠!!』


いつもの待ち合わせ場所で待っていた星斗は月詠を見つけ走り寄る


「…もう、遊べない。」


『え?』


「私は…吉原に売られるんだ。」

『……っ』

「もう…会えない…っ」


泣き出した月詠を星斗は小さな身体で抱き締める


『…大丈夫、僕は月詠から離れない。』


「星斗…っ」


月詠は小さいけど頼りがいのある存在に自分を預け泣き出したのだった








『月詠!!』

「星斗!!」

星斗は毎日同じ場所、同じ時間に吉原に忍び込んでいた

『月詠…その傷…』


「…わっちは女を捨てた、これからは吉原を…日輪を護る番人じゃ。」


『………』


星斗は悔しそうな悲しそうな表情を浮かべ月詠の傷を撫でる


「星斗?」

『もうちょっと、僕が大きければよかったのに。』

「え?」


『…あのね、いつか僕月詠の背を追い越して月詠を見おろすのが夢なんだ。』


いきなり話を変えた星斗に一瞬ポカンとする


「…って見おろすとはなんだ。」


『見くだすよりいいよね。』


「ぬし、わっちを見くだそーなんて100年早いわ。」


『100年経ったらいいんだ。』

「粘り強いのォ。」


『でも、見おろすのはあと少しかもね。』


星斗の背は月詠と同じくらいになっていた


「男なんだから当たり前だろう。」

『月詠は女の子だもんね。』


「…女は捨てた。」

『いつか必ず拾わせてあげるね。』

ニッコリ笑い月詠の頭を撫でる


「ぬしにできるか…」


視線をそらす


『出来るんじゃない?』


「他人事じゃのォ。」


二人は顔を見合わせ笑いあった









『………』


「どーしたんじゃボーッとして。」

『ちょっと昔の事をね。』


「ふーん?」


二人はいつもの屋根の上にいた


星斗は立ち上がり月詠も立たせる


「なんじゃ。」

『ちょっと…』


二人並ぶと星斗の方が5cmくらい高い

『もういつ抜かしたかわかんないや。』

「…嫌味か。」

『ちょっとね。』


ニッコリ微笑んだ星斗に月詠は何も言えなかった








 
 

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