猫からの贈り物
□第三話
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「え?なになに、鬼灯君知り合いなの?」
「ええ、この方が小さい頃に。」
ポカンとする大王に返す鬼灯を見て慌てて距離を取る
再会の感動で思わず抱きついてしまったがとても恥ずかしい事をしてしまった気がする
「あ、えっと、ご挨拶が遅れました。名無と申します。」
気を取り直し頭を下げると人の良さそうな顔で笑う大王
その表情にホッと息をつくと名無は裁判所の真ん中に移動した
「すいません、裁判まだでしたよね。」
「ああ、そうだね君は天国行きだからもう裁判は終わりだよ。」
「やったぁ。」
嬉しさで灯を抱きしめていると近くに鬼灯
身長差があるので見上げる形になり彼の威圧感も増す
普通ならその威圧に怯えるだろうが名無の中では優しい角のお兄さん
怯えることはなかった
「ところで名無さん、貴女転生の希望はありますか?」
「転生…いえ、特には。」
「そうですか、実はこの地獄は人手が足りないので手伝って頂きたいのですが。」
「あら、それは大変ですね。私でよければ是非!!」
「え!!ちょっとそんな簡単…に…」
言葉の途中で鬼灯に睨まれ口を紡ぐ
彼の後ろでは名無が不思議そうに大王を見ている
この鬼神の表情を見たらきっと泣いているだろう
大王は半べそだ
「貴方がキチンと仕事をしてくれたらこんな事を急に頼むこともなかったんですよ。」
「…ごめんね。」
こうして名無のセカンドライフが始まったのだった
続く