猫からの贈り物

□第四話
1ページ/1ページ

等活地獄

書類を上司から預かり裁判所に向かっているのは

もうすっかり地獄に馴染んだ名無だった

早いものでここに来て数十年

生きてる時よりも長い時間を過ごしている

それなりに忙しい等活地獄の主任補佐として働き始め主に事務仕事を担っている

ちなみに灯は不喜処地獄に勤務中だ

犬が多い中頑張っている

「今日は鬼灯様、いるかな。」

密かに想いを寄せる相手は忙しい身

出張やら視察やらでいないことが多々ある

「失礼致します。」

裁判所に入ると1番最初に目に入るのは大きな閻魔大王

なのだが

「あの、閻魔様大丈夫ですか?」

いつもの椅子から落ちている大王はものすごく切ない顔をして名無を見た

「名無さん、そんなものに声をかけなくていいです。」

「そ、そんなもの!?」

「鬼灯様!!お久しぶりです!!」

鬼灯の言葉にショックを受ける大王を少しスルーして名無は満面の笑みで彼に近寄る

明らかに好意が漏れているが名無本人は気がついていない

鬼灯も

何も言わない

「お久しぶりです、仕事の方はどうですか。」

「はい!とても順調です!」

「それは良かった。」

2人の様子を見ていた閻魔は起き上がり微笑ましそうに口を開く

「名無ちゃんは本当に鬼灯君の事が好きなんだねぇ。」

「へぁっ!!」

いつもの大人しい彼女から一変

顔を真っ赤にした名無は持っていた書類で顔を隠しながら閻魔に近づく

「な、な、な、なにを言っているんですか閻魔様!!そんな、私が、鬼灯様を、あの…あの…恐れ多すぎて…!!!」

「あははは、顔真っ赤っかだよー。」

「っっ!!」

恥ずかしすぎて声が出ない名無に閻魔は笑う

こんなに純粋に想ってくれるだなんて男冥利に尽きるねぇ

なんて

「大王、あまりからかうものじゃありませんよ。」

「君よく平気でいられるねぇ。」

「…今は我慢の時なので。」

鬼灯の言葉は誰にも聞き取れないまま

裁判所の扉が開かれる

「こんにちはー。」

入ってきたのは今年新入社員として入ってきた小鬼2人組だった








続く

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ