猫からの贈り物

□第五話
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「あ、お疲れ様です。」

名無を見て頭を下げたのは黒の髪の毛の唐瓜

「お疲れ様でーす。」

ニコニコと愛想よく挨拶をしたのは白のクリクリの茄子

「はい、お疲れ様です。」

落ち着きを取り戻した名無は微笑み挨拶を返す

「ああ、お二人は初めてでしたね。」

鬼灯は名無の隣にくると紹介を始めた

「この方は名無さん。等活地獄の主任補佐をしています。」

「よろしくお願いしますね。」

唐瓜です

茄子でーす

2人の自己紹介を聞きその可愛さに思わず微笑む

「お仕事には慣れてきましたか?」

「あ!はい!おかげさまで…」

緊張からか頬を染める唐瓜を微笑ましく思っていると突然茄子がきらきらとした笑顔を向け名無の前に出た

「わぁ!凄く癒しオーラが出てる!」

「癒し?」

「うん!なんかねー安心する。」

えへへ

と笑う茄子に逆に癒され微笑む

「…ところで、お二人はどのような要件で。」

「あ!お昼休みになったから鬼灯様も一緒にご飯どうかなーって!!」

茄子の言葉に鬼灯は懐中時計を取り出す

確かに時間としては丁度いいだろう

鬼灯は名無に顔を向ける

不思議そうに微笑み首を傾げる彼女

「名無さんもどうですか、お昼。」

「え!?」

「わぁ!!いいねいいね!一緒に行こうよ!!」

「わぁ!!」

「ちょっ!茄子、腕取れる!!」

「取れないよー。」

はしゃぐ茄子に腕を振り回され唐瓜に心配される

確かに鬼よりはるかに弱い亡者だがそう簡単には取れない

鬼灯をちらりと見ると返事を待っているようだった

「あの…じゃあお言葉に甘えて…」

「わしも!!」

「お前はその書類終わってからにしろ!!」

「鬼!!」

「鬼です。」













食堂に着くと各々注文をし席につく

唐瓜と茄子は隣同士に座り

必然的に向かい側に鬼灯と名無が隣になる

緊張で顔を赤らめるが平然を装い箸を持った

「あれ、名無さん顔が赤いですけど大丈夫ですか?」

「あ!うん!ごめんね大丈夫。」

唐瓜に言われ頬を手で扇ぎ取り繕う

茄子は目の前の御前に夢中だ

「名無さんは主任補佐なんですよね、すごいなぁ。」

食べながら言う唐瓜はお香を思い出し頬を緩める

「ああ、私はそんなに偉い立場じゃないよ。基本的に雑用や事務仕事なの。」

「そうなんですか?」

微笑む名無に鬼灯は頷きながら口を開く

「名無さんはまだ入って数十年ですしね。まだまだ日は浅い方ですよ。」

「そうなんだ〜。」

「ええ、でも、懐かしいなぁ。あの時鬼灯様と出会えてなかったら私はここにはいないもの。」

小さい頃の事を思い出し思わず顔が緩む

初恋は今も尚健在

成就するとは思っていないが好きな人と同じ職場で働けるのはとても幸せな事だ

「…」

「名無さんって鬼灯様の事大好きなんだね。」

顔を赤らめて黙る唐瓜と嬉しそうに話す茄子

そんな2人に名無はまた慌てる

「あ!だからその…っそんな事はないって、いうか、そのっ」

「いいなぁ鬼灯様。なんか羨ましいこんなに想われてて。」

「…ええ、そうでしょう。」

茄子の言葉に鬼灯は小さく返した








続く

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