猫からの贈り物

□第七話
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“この方は私のものです。”

あの時の鬼灯の言葉が頭から離れない

きっと深い意味は無いだろうと言い聞かせながら

名無は恥ずかしさに1人足をばたつかせた

「失礼します!!」

場所は等活地獄事務所

一人でいた名無の元へ1人の獄卒が駆け込んできた








「まぁ、桃太郎さん。」

あの御伽噺の主人公が今目の前に

少し感動しながら名無は様子を伺う

どうやら強い相手と戦いたいようだった

「茄子君。」

「あ、名無さん。」

「鬼灯様呼んできてくれる?」

「はーい!!」

元気よくかけていく茄子を微笑みながら見送り自分は桃太郎の元へ

「こんにちは、桃太郎さん。」

「あ!?」

気がたっている彼をどう捌いていこうか









「桃太郎さん、鬼退治はもうお済みになったんじゃないですか?」

「うるさいうるさい!!俺はこの地獄の鬼を退治するんだ!!」

「あらまぁ物騒…」

困ったように頬に手を置きながら考える

一体今頃どうしてそう思い始めてしまったのか

「良いから鬼を出せ!!」

「そう言われましても…私ではダメですか?」

「お前鬼なのか?」

「いいえ。」

「くっそ見た目通りかい!!」

すると後ろの方で見守っていた鬼たちがざわつき始め待ち人が来たことを悟る

名無は頬を緩めながら姿勢をただし振り返る

「すいません、鬼灯様。」

「いいえ、よくがんばりましたね。」

なんとなくあの白澤の件から優しさが出てきた鬼灯

頬を染める名無を見る目は前から変わらないが

「その気の使い方…もしかして、そいつ上官だな。」

鬼灯は眉を一層寄せて渦中の人物を見る

名無を背に隠すように前に出ると桃太郎と対峙した

「ならば、いざ尋常に…勝負しろ!!」

刀を抜いた桃太郎の傍には犬、猿、雉

「あらら、鬼灯様退治されちゃう。」

「それは困りましたねぇ。」

「なにそののほほんオーラ!!殴る蹴るのタイマンはったろかーっ!!」

「ああ、殴る蹴るでいいならすぐ解決するのでありがたいです。」

金棒を手にパシンと叩きながら威圧するとそれに押され少し後ずさる

「いや…暴力はよくないよね…。」

「地獄なので暴力で解決しましょうよ。」

「犬さん、猿さん、雉さん、こっちにいらっしゃい。」

ニコニコと手招きする名無に思わず足が向かう

特に犬は尻尾を振りながら駆け寄ってきた

やはりニコニコしながらそれを受け止め3匹とも名無の手中に

「さて、後は貴方だけですね。」

「くっ…おのれ鬼め!!桃太郎の剣術受けてみよ!!」

刀を抜き憤る桃太郎に名無は流石に恐怖を露わにする

「鬼灯様っ!!」

「大丈夫ですよ。」

鬼灯は金棒を構えると

1歩踏み出し

パッキリと刀を折った

「わぁ…」

少しの静寂がその場を包んでいた









続く

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