□それでも私は
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『…っ』

「レン!!私走れるアル!!」

手を引かれ走る神楽と後ろを気にするレン

『神楽の足じゃ追いつかれる…っ』

「うあ!!」

抱えられようやく女に目が行く

「!?」

目と鼻の先に

「貴女…レンのなあに?」

怒りなのか、驚愕なのか

無表情で神楽を見つめる猫耳の女

「ひうっ」

『!!』

走っているレンに追いついている女を目の前にして

神楽の中が恐怖で埋まる

走る事を止めないレンにしがみ付くことしかできない

「…あぁ、貴女は…私が仕留めるわ。」

「…っ」

追うことをやめた女を尻目に

レンは万事屋へ向けて走り続けた







「接触が早すぎるぞ、アレン。」

「我慢できなかったんですもの。何年ぶりかしら。」

走り去る二人を見送ったレンの姉・アレン

路地裏へ入り目当ての男を見つけ頬を緩める

「あまり奴らを見くびるなよ。」

「ふふ…あの子たちに負けたこと、トラウマになっちゃったの?」

「…」

「今まで負けなしだったものねえ。」

「黙れ。」

不機嫌に歪められた表情を愛おしく見つめ

「はい、李羅様。」

従順な声を出し後に付いた










ガララララッ

バンッ

勢いよく開かれ閉められた玄関の戸に気が付いた新八

不思議に思い玄関へ赴くと

カンカンカンカン

「…なにしてんすか。」

『二度と開かないようにしてる。』

「はああ!?完全に玄関の意味なくなるじゃないですか!!」

「新八はアイツを見てないからそんなこと言ってられるネ!!」

「アイツ?」

木材を持ち金槌で打ち付けているレンに渡す神楽

「とにかく!!どこから出入りするつもりなんですか?窓って言ったってここは二階だし。」

『はっ!!』

気づいたレンは居間へ走りソファーで寝そべる銀時を踏み越え窓際へ

「ちょっとレン君?わざわざ踏まないでくれる?」

「銀さん、もっとツッコむところあるでしょう。もう外行けないですよ。」

「何やってんだオメー。」

ダルそうに起き上り作業が終わったレンに向く

「ついに来てしまったアルよ…」

「あん?なにが、生理か?」

ドカっ

神楽に蹴られ伸び切った銀時を無視し

『姉さんが、殺しにやってくる。』

「え!?」

驚愕の新八と怯えた神楽

頭をさすりながら銀時が起き上る

「物騒だねえさすが戦闘民族か。」

神楽の兄・神威や仲間の阿伏兎を思い出しながら面倒くさそうに呟いた

『はああ、まあとりあえず外でなければ大丈夫かなあ。』

銀時の向かい合わせのソファーに飛び乗りテレビをつける

「え、さっきの緊迫感はどこへ。」

「レン!!あんな恐怖体験私もうしたくないアルよ!!」

「お前そのものがもう恐怖だよ俺ァ。」

「銀ちゃんは黙るアル!!」

ドゴオ

「ぐふぉあっ!!」

花野アナが中継を繋ぐニュースを見ている銀時を一蹴り

<只今攘夷浪士たちが立て籠もっているのはあの有名な大企業UNIREXAの…>

『大丈夫だよ神楽。』

「レン…」

優しい笑みを向けるレンに神楽の目が潤む

<情報によりますと攘夷浪士たちを纏めているのはなんと絶滅したといわれていた…>

『俺には心強い仲間がいるから。』

ニッコリ笑い神楽を抱きしめる

ラブラブな二人を尻目に男二人はジトメでテレビを見ている

<いやーまさかあの猫瞬族の生き残りがいたなんて驚きでさァ。>

花野アナのインタビューを受ける沖田の言葉に神楽が反応する

<猫男の引きこもりはとっと仕事に来てほしいもんですねィ。>

「「「…」」」

『みんな、家族だよね!!』

レンの笑顔の目はいつもよりキラキラしていた
















 
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