短編

□雨の日のハッピーディ
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窓の外を眺めながら名無は小さく息を吐いた


今日は久しぶりの銀時とのデート


激しく降る雨に落胆の表情を隠さず空を睨みつけた


『雨かぁ……』


てるてる坊主を作っておけばよかった

前日の自分を恨みつつ時計を見ると約束の時間

そろそろ愛しの彼がやってくる










ピンポーン

軽快に鳴るいつもの玄関チャイム

落胆の表情を少しだけ明るくさせ扉を開ける

『はぁい…』


「よぉ雨女。銀さんが来ましたよ〜。」


『銀ちゃん!』


彼の顔を見るだけで心は晴れやかになれる

自分の簡単さに少し苦笑


『私雨女じゃないんですけど。』


銀時へ避難の目を向けながら部屋へ通す

少し湿気ているこの気候

彼の髪はいつもよりややくるくるしていた


「俺は運動会も遠足も雨になった事はないんですぅ〜(多分)だから名無は雨女決定。」


『あれ?今多分って言った?多分って言ったよね?』


「ん?言ってねぇよ。少なくとも口には出してねぇよ。」


じゃぁ思っていたのね

名無は睨みをきかせた










いつもの万事屋にいる時のようにソファに寝転ぶ銀時

少しだけ違うのは


『銀ちゃんの髪いつも以上にくるっておりまぁす。』


名無の膝枕を満喫している事

「ちょっ名無ちゃん。いま銀さんのガラスのハートにぐさーっときちゃったよ。」



いつものやり取り、この時間が心地いい。



「さぁてと〜始めますか!」

銀時は立ち上がり伸びをすると見上げる
名無にニヤリとした顔を向けた


『何を?』


「銀さん特製の甘味屋巡り。」


『え、それって手作り…って事?』


「名無ちゃ〜ん、キッチン借りるよ〜。」















久しぶりのデートは雨



朝からずぅっと不機嫌だった私



………でも…


『私も手伝う!』



あなたが居てくれるだけで………









いつだってハッピーディ







END
 

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