短編

□天使の恋愛
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「なぁ班長、やっぱ車買おう。自転車じゃ無理だ。3人も乗ってる自転車見たことねぇよ。」


日本天使連盟送迎部隊21班たんぽぽ組の丹波鉄男


そして同じくたんぽぽ組の名無


絶賛鉄男に片思い中


『でもテツ、美咲さんはすごい速さで漕いでるよ?』


「名無、わしとテツを一緒にしてもらっては困るけー。」


『そうですね。私も嫌です。』


「どうゆう意味だコラ。」



いつもじゃれて遊んで楽しい日常


この時間が名無の至福の時だった











「班長は会議室にお集まり下さい。」


班長の収集がかかり美咲は少し息を吐く


やはりこういうものは面倒くさいものなのだ


「ちょっと行ってくるけー。仲良くしとき。」


『はぁい。』


「俺らは子供か。」


美咲がそこを離れると賑やかだった場所は静けさが包み込む


なんとなく頬を赤く染め緊張の面持ちを見せる名無に


鉄男もらしくなく顔を染め上げ頬をかく


わかりやすいのだ


彼女は


いたたまれなくなり彼女の赤く染まった頬を人差し指で押してみた


案外柔らかいそれはなんだか癖になりそうだ


『テ…ツなにしてんの…』


驚くその顔に優越感が出ながらなんともない風を装う


「いやぁ…表情固いからほぐしてやろーと思って…」


誰のせいだと思っているんだ


尚も表情に出過ぎている名無


なんだか見ている方が楽しくなってくる


「お前ホッペ柔けーな。」


顔を近づけると顔全てを真っ赤に染め上げる名無


かわいいなぁ


なんて自分らしくない事を思ってしまった



「どうした?顔赤いし熱いぞ?風邪か?」


意地悪く聞くと恥ずかしさからか目に涙が溜まってくる


鉄男はもう名無に釘付けだ


彼女の可愛さに我を見失いそうである


『テツ…っ』


彼女の声を聞いて


勢い余った鉄男は彼女を押し倒してしまった


断じて下心はない


あるとしても70%くらいだ


そしてタイミングよく現れたのは我らが班長


「テツ、名無仕事……じゃ…」


いつもの無表情から少しだけ目を丸くさせる美咲に慌てる鉄男


「いや、これは、事故で…なぁ?」


『は…はぃぃぃっ』


慌てればそれだけ信憑性が無くなるが鉄男にそんな事を考える余裕はない


「…邪魔したな…ここは私が見張っとるけん。思う存分…」


「子供が何言ってんだぁ!」


『だってテツっ!!』


「おまっ絶対混乱してるだろっ!!」


真っ赤になって鉄男を見つめる彼女にくらくらしながら己の顔を片手で覆った


「じゃっ 」


「あ!おいちょっと!!」


なんとなく楽しそうな美咲へ片手を挙げその場を去ろうとする


そんな美咲を鉄男はいたたまれなくなり追いかけて行った









その場に残された名無は先程の余韻で腰が抜けてしまっていたのだった










END
 

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