短編

□ゴリラなあなた
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あなたはいつでも優しくて


それで皆に信頼されて


それで………


「お妙さぁぁぁぁん!」


とっても一途で粘り強い








名無は万事屋でバイトをしている


お妙に仕事がないか聞いたときに万事屋を紹介してもらった


お妙と名無は幼なじみである


幼い頃から一緒にの2人は姉妹のように過ごしてきた


朝、いつものように新八と共に万事屋に行こうと恒道館に向かっていた


そしていつものように聞こえるあの人の声


「お妙さぁぁぁぁん!」


「死ねぇぇぇゴリラぁぁぁっ!」


大声と共に勢いよく飛んでくるのは


名無が密かに想いを寄せている人


『!?』


「いててて…まったくお妙さんは照れ屋なんだから…あっ名無ちゃん!おはよ〜」


壁に激突しても尚も笑顔な近藤に名無も同じ表情を浮かべる


『近藤さんおはようございます。大丈夫ですか?』


「大丈夫大丈夫!このくらい!」


『…近藤さんは、お強いですね…』


「え…」


「良いのよ、名無。こんなゴリラ。」


「お妙さん!今日もお美しい!」


『………』


明らかに顔色が暗くなる名無


幼馴染に愛を叫ぶ好きな人


それを見て嫉妬をする事も嫌だった


「うせろやぁぁぁっ!」


清々しい程に殴り飛ばし彼女の違和感に気がついた妙は心配そうに近づく



「名無?」


『あっ…私そろそろ仕事行くね!』


いつもの笑顔に戻し取り繕う名無に妙は少し眉を寄せた


それに気がついてはいたが名無は目線をそらしもう1人の幼馴染に元気よく声をかける


『新八く〜ん!行くよぉ!』


「あっはいっ!」


新八と名無は万事屋へと向かう


そんな2人を見送りながら妙は仕方なさそうに息を吐き先程殴り飛ばした男に目を向ける


今度は思いっきりため息をついた


「名無は可愛いのに……勿体無いわね…」


名無の想いはとっくの昔に気がついているのだ









『…………』


「おいおい、名無の奴この頃上の空だな。」


銀時がコソッと新八に耳打ちする


洗濯カゴを抱えた新八も眉を寄せ心配そうに彼女を見た


「そうなんですよね…どうしたんでしょう。」


「きっと万事屋に愛想つかせてきたアル。」


鼻をほじりながらふんぞり返る神楽はさも当然と言った風に言い切った


それを睨みつける銀時にも動じない


「何でだよ、仕事が無いからかコラァァ。」


「そうかもしれないですね。」


「おい『銀ちゃん、私ちょっと買い物してくるね。』


本人は気が付いていないが銀時の言葉を遮る#NAME1##


既に立ち上がっている彼女は財布を持ちいつもの笑顔を浮かべていた


「あ〜わかった。ついでにチョコ頼むわ。」


「酢昆布もヨ。」


「トイレットペーパーもお願いします。」


『はいはぁい。』

新八の主婦力に笑いながら名無は万事屋を後にした










「「「…………」」」


この時3人の思いという名の企みが一致した













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