ポケモン

□密林の最速選手
1ページ/5ページ



とある森の中で、1人と1匹のポケモンが走っていた。
いや、ポケモンの方は「跳んでいる」と言った方がいいだろう・・・。


走っている少女・・・チサトはトレーナーであり、現在ポケモンたちのレベル上げ真っ最中だ。
そしてチサトと共に並んで跳んでいるポケモン・・・スピリトは、もちろんチサトの手持ちポケモンである。
「もうスピリト早いよぅ〜〜!トレーナーの私を置いていこうとするなんてヒドすぎるわよ!」
「お前の足が遅いだけだろ」
「・・・・・・まぁ、確かにそうなんだけど・・・・・・」

――でも、もし私が足速くても、結局あなたには敵わないわよ!

と心の中で叫んだ。


ジュカインは元から素早さが高めで、約52sとは思えないほどの身軽さで木の枝を飛び回る。
その結果、敵の頭上や背後から攻撃できるという利点があり、チサトのスピリトも最も得意とする戦法である。

そんな彼らは、栄養満点の背中のタネで樹木を元気にし、森の木を大切に育てるという心優しい一面も持っている。

チサトは、そんな彼らに惹かれ・・・スピリトと出会い、
またスピリトはチサトの内に秘められた「何か」に惹かれ、互いに旅を共にしていく事になったんだが・・・・・・

今までの事実上、チサトは元から走るのが遅い方であり、体力もそこまで無い。
いくら何でも心優しい一面を持っているとはいえ、素早いだけに走るのも速いし、
体力もあるスピリトにとっては、チサトのペースばかりだと物足りない。

ここで人とポケモンとの差が出てしまい、結局はトレーニングになっておらず・・・・・・
チサトは今、スピリトに「振り回されている」のであった。


「ちょ・・・ゴメン、これ以上は・・・速く走れ・・・ない・・・・・・」


ゼエゼエと息を切らして限界だと訴えるチサト。

それを聞いて、さすがにこれはマズイ・・・と、今のチサトの状態を知ったスピリトは、
「やれやれ」と言っているかのような顔をしてチサトの傍に降りた。
そしてチサトを抱き上げて、自慢の体力と足で休息できる場所を探すのであった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ