Story...
□第一話 始まりの詩
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○ 東の森
暖かな光が木々に差し込んでいる深緑の森。
小柄な体に似合わぬ巨大な槌を背に担ぎ、左右によた付きながら歩を進める惠麻(ema)。
「ハァハァ…」と息を切らしながら、近くの木に凭れ掛かり、地図を広げて現在地を確認する。
惠麻「あーもぅっ…」
肩まで伸びた、茶色いソバージュの様なくせっ毛。
右側に顔を向けると、頭の右方に纏めた御団子が鬱陶しい。
体勢を立て直し、腹に手を当てる。
惠麻「食料…伴に全部、預けるんじゃなかった…」
しばらくその場に立ち尽くすが、進むより他にないと、眉間に皺を寄せ、再び歩き出す。
惠麻「レミリアに着いたら、絶対三日分食べてやるっ…」
重くなった足を引き摺っていると、徐々に色が変化していく風景。
街の賑わいを感じさせる音が、惠麻の耳に届く。
惠麻「あっ…」
気のぬけた様な声。
レミリアの街が、すぐそこに顔を出している。
惠麻「着い、た…」
自然と笑みが溢れる。
早くなる足踏み。
だが街に入った途端、力尽きたのか、地面にへばりつき、動かなくなる。