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□第二話 地族と空族
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○ 地族の基地

外観、森の木々に囲まれた地に、ぽつんと土色の大きな四角い建物。
複数に分かれた部屋の外には、頑丈そうな柵が付いている。
天井には穴が開いており、入り口はぽっかりと口を開いている。
保を乗せた緋呀鳥が、天井の穴から内部に離陸する。





天井の穴は基地の内部に繋がっており、洞窟の様な造りになっている

保「ありがとう、また明日な」

緋呀鳥から降り、嘴を撫でてやると、よく懐いている様で、穏やかな鳴き声。
その後、駆け足で基地の奥に入って行く。





大広間。とても広い造りになっており、大きめのテーブルが中心に置かれ、会議やダイニングなど、様々な用途で使われる。
保、キョロキョロと辺りを見渡す。
弾斗(Danto)、壁際で巨大な岩を持ち上げ、時折唸りながら、筋力トレーニングに励んでいる。
橙色の髪と瞳の色にマッチした黄色いベストが、屈強な肉体を顕著にしている。

保「弾斗さん」

弾斗「んんっ?」

振り返る弾斗、口に骨付き肉を銜えており、話が出来ない。

保「あっ、すいません」

弾斗「…」

手に力を込め、保の目の前で一瞬で岩を粉々にする。

保「うわぁっ!」

弾斗、手ぶらになった右手で肉を掴む。

弾斗「はっはっはっは!なんだ保、お前もやるか?」

保「無理ですよぉ。あの弾斗さん、桐友君は?」

弾斗「桐友?さあな」

弾斗、肉をがぶりと齧る。

保「そうですか。ありがとうございます」





保、個室を覗く。

保「あっ…」

室内に那央(Nao)が居た事に驚く。
那央、鏡の前。
黄系の長い茶髪を、櫛で梳かしている。
綺麗に引き締まった体のラインは、若々しさを強調している。

那央「どうかしたの?保」

凛とした水色の瞳で保をじっと見る。
保、思わず赤面する。

保「あっ、那央さん…あの、桐友君、知りませんか?」

那央「桐友?そういえば見ないわねー」

保「ですよねっ…あ、ありがとうございます」

部屋から飛び出した保を、不思議そうに見つめ、再び髪を梳かし始める那央。





弾斗「あっちゃー、またやっちまったなー」

粉々になった岩の残骸を見て、困惑しつつも口元が緩む。

来憂の声「また全部壊しちゃったの?」

弾斗のトレーニングを背後で見ていた来憂(Rauru)が、見兼ねて声を掛ける。
オレンジに近い赤茶色の髪を高く束ね、
スポーティーなファッションとは裏腹な抜群のプロポーション。

弾斗「おう、お前良い所に居んじゃねぇか、頼むぜ」

来憂「はいよ」

岩の残骸に向かって、両手を翳す。

来憂「再生術」

すると、石がみるみる再生し始め、元の巨大な岩に変わる。

弾斗「おぉ!相変わらずすげぇな」

来憂「最初から潰そうとしないで、ただ持ち上げてれば良いんだよ」

弾斗「助かったぜ来憂。さすがだな」

来憂「ふふっ、まあね。ん?」

来憂の視線の先、真っ赤な顔をした保が個室から出て来る。





保「あぁ‥またやってしまった」

来憂「どうしたの?ヘタレ君」

背後から突然の声掛けに、驚き「うわっ!」と声を上げる。

保「来憂っ」

来憂「良いね、毎日青春だね」

保「また来憂に見られた…」

来憂「見られちゃ困る事でもしてるのかって」

保「そうだ!こんな事してる場合じゃなかった。桐友君知らない?」

来憂「桐友?裏で水術の実技してると思うけど」

保「ありがとう!それじゃあっ!」

保、裏に向かって走り出す。

来憂「どうしたんだよー?」

保「…来憂も一緒に来て!」

来憂「えぇっ?」

保が再び走り出し、わけが分からずも後を追って行く。
 
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