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□第五話 深まる謎
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○ 玉座の間
太陽が広い空間に温かく降り注ぐ。
開き掛けの花の蕾が、左右に気持ち良さそうに揺れている。
一人佇む釈良、その端正な横顔を光が照らし、金糸の髪を更に輝かせている。
釈良「…」
玉座の後ろの扉、眠たそうな目を擦り、瞬きを繰り返しながら、穂華が入って来る。
釈良「おはようございます、穂華様」
穂華「おはよう、釈良」
釈良「穂華様、お疲れな様でしたら、休まれていた方が…」
穂華「大丈夫よ。私に休んでいる余裕なんてないもの」
穂華、玉座の間に腰掛ける。
釈良「ですが…最近、よく眠れておられない様ですが」
穂華「…近頃、思い出してしまって…両陛下が亡くなった頃の事を…」
釈良「…」
穂華「その夢を見るたび、自分が女王になってしまった事を、恥じずにいられないの…」
釈良「何をおっしゃる。あなたは今まで、精一杯国の為にして来られたではありませんか」
穂華「…国の為、みんなの為。そう言って結局、私は何も救えなかった」
釈良「結果はどうあれ、あなたは立派なこの国の王なのです。誰が何と言おうと、私はあなたに従う事が、生きる意味だと思っているのですから」
穂華「…」
釈良「…失礼致しました」
穂華「…生きる、意味…」