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□第九話 決死の脱走
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○ 北の森

負傷した足を引きずり、ゆっくりだが前に進んでいく。
苦痛に歪む伴の表情に、居た堪れなく駆け寄る夏要。

夏要「伴、無理しない方がいいって」

伴「夕和ちゃんがあんな目にあったのは俺の責任だ。指輪の力のない俺には、夕和ちゃんを救い出す事は出来ねぇ」

夏要「伴…」

伴に手を貸そうと、一歩踏み出す。

伴「お前は付いてくんな。ややこしくなるだけだ」

夏要「でもっ…」

伴「俺は大丈夫だから。お前はお前の思う事をしろ」

夏要「…」

立ち止まり、夏要に振り返る伴。

伴「…夏要、お前に一つだけ言っておく。一度信じた女は、絶対に裏切るな」

夏要「…分かった」

頷き、意を決して宮殿に走り出す夏要。
後ろ姿を見つめ、小さく笑む伴。
 
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