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□第十一話 交錯
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○ 西の森

音月「…」

理人「用が済んだなら、戻るぞ」

来憂「…」

桐友「そう簡単に逃げられると思ってるのか?」

来憂の腕を掴み、引き寄せる様にして後ろへ、代わりに前に出る桐友。

理人「…」

理人・桐友、互いに鋭い視線で相手を見遣る。

伴「…」

夕和「…」

重苦しい空気に、固唾を呑む伴・夕和。

惠麻「…むっ」

眉間に皺を寄せ、いかにも不満そうな表情で理人に歩み寄る惠麻。

惠麻「ちょっと理人!」

理人、目線だけを惠麻に向ける。

理人「何だ、てめぇは」

惠麻「アタシは惠麻。族争いに好き好んで首突っ込んだ、ただの旅人ですけどー」

理人「…」

惠麻「アンタ達二人共、つまんない意地張ってないで、もう争いはやめなよ」

場が凍り付き、惠麻と伴以外の全員の表情が険しくなる。

伴「アイツッ…」

額に手をあて、呆然とする伴。

惠麻「桐友もさ、兄弟していがみ合ってないで、弟ならバカな兄ちゃん説得してやろうとか思わないの?」

桐友「…」

夕和「兄、弟…?」

夕和、理人と桐友を交互に見る。

伴「…」

背後から寄り、惠麻の頭をコツッとはたく伴。

惠麻「いたっ」

惠麻、叩かれた部分に手をあて、不服そうに振り返る。

惠麻「何!?」

伴「お前…余所者のくせに、分かった様な事言ってんな」

惠麻「余所者だからその他の気持ちが分かるんじゃん」

伴「いくらお前とは言えど、理人や音月の気持ちをつまらないとは言わせねぇ」

音月「…」

惠麻、怪訝そうに伴を見る。

惠麻「…何?もしかして伴、争いを止めようって思ってないの?」

伴「そうゆう事じゃなくて、お前は何も分かってないっつってんだ」

惠麻「分かってないのは伴の方でしょ!地族のリーダーは理人の父親なんだよ?」

伴「…だったら、尚更俺達が口出しする問題じゃねぇだろ」

惠麻「…はっ、本気?」

重い空気が流れ、ムッとして俯く惠麻。
バツが悪そうに、惠麻から視線を逸らす伴。

惠麻「…」

顔を上げ、伴の胸元に、思い切り月光リングを投げ付ける惠麻。

伴「てっ!…あっ」

惠麻「なら勝手にすれば!バーンカ!」

あっかんべーする惠麻。

伴「て、てめぇ!」
 
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