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□第十三話 密会
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○ 宮殿

守翁の研究室。
椅子に腰掛け、机に用意した山の様な文献を読み漁っている夏要。

夏要「…」

夏要の回想。
釈良・夏要、向き合う。

釈良「これだけは言っておく。二つの魔力と穂華様は一切無関係だ」

夏要「でも…レミリア襲撃事件には、関わっているんですよね?」

釈良「…関係しているのは、穂華様ではない」
(回想終)

夏要、後ろ髪を掴む様に頭を抱える。

夏要「あーっ!何が何だか分からなくなって来た。一体誰が関係してるってゆうんだぁ…」

すると突然、部屋の扉が人影も無く静かに開く。
夏要、文献に意識を集中しており、全く気付いていない。
本棚から、本が一冊ふわっと浮かび上がり、夏要の傍らの山の様な本の上に、そっと到着する。
夏要、手にしていた文献を脇に退け、その本を、何も知らずに手に取る。

夏要「あれ?この本…」

表裏を確認するが、タイトルがどこにも書かれていない。
訝しげに本を開く。

夏要「これ…先生の日記だ」

内容を読み始める。

『一日目。レミリア王国に到着。一通り探索したが、結論…この街の食べ物は美味い』

夏要「…何だそりゃ!全く、親子揃ってどうしてこう食への執着心が…」

ぶつぶつ言いながらも、ページを捲っていく。

『三日目。国王は良い人だった。王妃はタイプじゃないが、胸がでかい』

夏要「アンタは何をしに来たんだ!」

溜息を付きながら、ページを大幅に飛ばす。

夏要「この辺りかな」

『十日目。月夜さんは美人で、特に踊りは素晴らしい』

夏要「月夜さん?そういえば、あの年表に…」

夏要の回想。
【第九話より】
地下で見た年表。
(回想終)

『十二日目。月夜さんに怪我の治療をしてもらった』

夏要「よっぽどこの人の事が気に入ったみたいだな。どうでもいいけど」

諦めた表情で、ページを進める。

『十五日目。なんと月夜さんには、子供が居た。今日はショックで、研究にも身が入らない』

夏要「って、だからアンタは何をしに…研究?」

真剣な表情で日記を凝視する。

『今日は月夜さんの体調が悪く、研究はしばらく延期になりそうだ』

夏要「レミリアに伝わる魔力には、どうやら月夜さんが大きく関係しているらしいな…」

夏要、脇目も振らずに、じっと日記と睨み合う。
その背後で、扉がパタリと勝手に閉まる。





玉座の間。

釈良「…」

月を見上げている釈良。
ふと気配を感じ、守翁の部屋の扉を振り返るが、辺りは閑散としている。

釈良「…」
 
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