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□第十四話 雪の降る夜
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○ 北の森
佇む音月。
斜め上から月明りが表情を照らす。
音月「…」
無表情、静かに目を閉じると、それに合わせたかの様に、小さな雪の粒が上空を舞い始める。
薄く目を開き、雪の存在を確認する。
音月「…」
琉生の声「雪だっ!」
驚いて振り返ると、調度月と重なり、無邪気に微笑んでいる琉生。
雪を嬉しそうに見つめている。
琉生「久しぶりに降ったね、雪」
音月「…まだ、帰ってなかったの?」
琉生「うん。何となく、今日は雪が降りそうな気がしたんだ」
音月「…琉生っ」
琉生「ねぇ音月、ちょっと付き合わない?」
音月「えっ…」
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北の森の丘。
両手を擦り合わせ、体を丸める夕和。
夕和「ちょっと、冷えて来ましたね」
遠い空をじっと見つめる世嗣。
世嗣「…お前の言う通りかもな」
夕和「えっ?」
世嗣「音月が悲しんでいる時、決まって雪が降るんだ」
夕和「雪?」
空を見上げると、花びらの様に雪が降り注ぐ。