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□第十七話 魔族の心
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○ 地族の基地

安寿の部屋。

安寿「…」

布団に横たわり、物思いに耽っている。

安寿「…もう17年か。早いもんだな」

ふっと目を閉じる。
次第に、室内に漂う異様な雰囲気に、胸騒ぎ。

安寿「…」

???の声「安寿・・・安寿・・・」

安寿「…」

懐かしい声。
室内に人影は無い、だが確かに安寿の耳に届いている。

???の声「安寿・・・安寿・・・」

安寿「・・・砂酉(さゆ)…」

零れる様に出た言葉は、死んだ妻の名前。
声の主に語り掛けるわけでもなく、自身に確認する様に呟く。

砂酉の声「安寿…戦いはもう…止まらない」

安寿「…」

砂酉の声「桐友だけでも救ってあげて…あなたの力で…」

安寿「…」

砂酉の声「あなたの大切な仲間や、家族を救う方法は…それしかない…」

安寿「…理人が地族を出て行った事で、その方が理人の為だと…あの時、お前は言った」

砂酉の声と、自分自身に問い掛ける。
何時になく慎重な声色。

安寿「桐友を守りたくば理人を見捨てろって事か…バカ言うな。アイツ等二人共、俺達の息子なんだぜ」

砂酉の声「理人はあなたを殺そうとしてる。桐友や、他のみんなを裏切って、理人をただ一人救うか。桐友を救って、地族を守るか…」

安寿「…」

砂酉の声「戦いは始まってしまった。もうすぐ、理人があなたを倒しに来る…」

安寿「…」

ゆっくり目を閉じる。
次の瞬間、ハッと我に返った様に目を見開く。

安寿「・・・何だ、今のは…」

 
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