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□第二話 地族と空族
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○ 基地の裏

西の森に繋ぐ道が広がる。
付近に木々があまり立っておらず、小さな草原と化している。
桐友(kiyuu)、基地を背に、目を瞑り、精神統一を図っている。
整った中性的な顔立ちを引き立たせる白い肌、サラサラと靡く銀髪から覗かせる碧眼。

桐友「…」

両手の甲を内側に、顔の前に横向きに持って来ると、羽織っているコートが、ふわりと宙を舞う。
背後から、来憂・保が駆け足でやって来るが、全く気付かない。

来憂「あっ、居た」

桐友、目を開く。
その瞬間、地面から大量の水が飛び出し、天高く飛び上がっていく。
保、「うわぁー」と感嘆の言葉を漏らし、思わず見入っている。
来憂、誇らしげな表情で、飛び上がった水の最上を見上げる。
桐友、飛び出た水を見上げ、右手を翳すと、ほとんどの水が水蒸気に変わり、小さな水滴がポトポトと落ちて来る。
目を閉じ、水滴を顔に受けると、正面に向き直し、目を開く。

来憂「水も滴るってゆうのはこの事だね」

桐友「今のは失敗だよ」

顔でタオルで拭きながら、何事もなかったかの様な口ぶり。

保「え?今のが?」

桐友「本当は全部の水を消したかったんだ」

来憂「完璧主義者だなぁ。今のすごい良かったと思うけど?」

桐友「‥対空中の攻撃は、完璧じゃなくちゃ意味がないんだ」

瞬間、来憂の表情が強張る。

桐友「…」

重い沈黙が流れる中、保、恐る恐る要件を切り出す。

保「あ、あの、桐友君…」

桐友「ん?」

保「さっき緋呀鳥で、レミリアの上空を飛んでたんだけど…」

来憂「…」

来憂、険しい表情で、俯いている。
 
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