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□第四話 次期族長
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○ 安寿の部屋

動物の毛皮で作られた布団やソファが置かれている。
運び込まれた数本の酒瓶が、すでに空瓶も多数散乱している。

来憂「うっわー…」

鼻を抓み、思わず呆気にとられてしまう。
安寿、ソファにどかりと腰を下ろす。

安寿「まあ座れや」

来憂「どこにだっつーの」

構わず、毛皮の絨毯の上に腰を下ろす惠麻に物怖じはない。

惠麻「じゃあ、まず乾杯しよっか」

安寿「おっ、いいねー」

嬉しそうに酒瓶を開き、勢いよく飛沫が広がる。
仕方なくスペースを作り、腰を下ろす来憂。

惠麻「あ、こんなにいっぱいあるんだからさ、瓶のままで良くない?」

来憂「はっ!?何言ってんの?」

安寿「はははっ、上等だ!ほれっ」

惠麻「サンキュー」

惠麻、安寿から投げ渡された酒瓶を開ける。

来憂「マジィ?」

安寿「さてと、何に乾杯するかな」

惠麻「何でもいいよ。何かないの?」

来憂、不安げに酒瓶を開ける。

安寿「よし、なら…」

安寿が瓶を掲げ、それを合図に二人も同じ様に倣う。

安寿「地族の新入り、惠麻に乾杯っ!」

来憂「えっ!」

来憂、思わず手が止まる。

惠麻「かんぱーいっ!」

怒涛の勢いで酒を半分以上飲み干す。
来憂、二人の飲みっぷりに圧倒され、硬直する。

惠麻「はーっ!…新入り?」
 
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