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□第五話 深まる謎
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○ 宮殿・地下

一心不乱に本を読み漁る、夏要と美去。

夏要「おかしいなぁ。いくら先生が飽きっぽいとはいえ、これだけ長く滞在したこの国に、何も残っていないはずはないんだけど」

美去「それが妙な事に、この宮殿のどこを探しても、二つの魔力に関する書物が存在しないのよ」

夏要「存在しない、って…」

美去「古より語り継がれ、これほど王宮に影響を与え続けたものに関する資料が存在しないなんて、おかしいと思わない?」

夏要「じゃあ、誰かが魔力の開放を阻止する為に、わざと隠したって事ですか?」

美去「しかも、大よそ検討の付いてる相手は、かなり厄介なのよね」

夏要「…釈良さんっ」

美去「そうなるわね。この広い宮殿の中とは言っても、隠す場所は限られてくるわ」

夏要「もしかすると、釈良さんの部屋に…」

美去「忍び込むわよ」

夏要「えぇーっ!ちょっと、本気ですか!?」

美去「まさか。冗談よ」

夏要「だから、からかわないで下さいって!」

美去「これは私の推測だけれど…」

夏要「えっ?」

美去「釈良は、魔力の開放の仕方を知っているんじゃないかしら?」

夏要「そんなっ…あっ、そういえば…」

立ち上がり、本の山の中から、一冊を手に取る。

美去「それ…」

夏要「美去さんが昨日見せてくれた、魔族の襲撃事件について書かれていた本です」

ページを捲り、事件の箇所を開く。

夏要「やっぱり‥魔族が現れ、街をめちゃくちゃにした所までしか書かれてない」

美去「どうゆう事?」

夏要「多分、何らかの関係があるんだと思います。この事件と、二つの魔力は」

美去「じゃあ、その部分が抜き取られたって事?」

夏要「確信はありません。でも穂華様は、争いを止める為に魔力を開放すると言っていた。その背景には、この事件があったからじゃないんでしょうか」

美去「つまり先代の王族は、宮殿を襲って来た魔族達から身を守る為に、この魔力を開放したって事?」

夏要「そうゆう事になりますね」

美去「…もし本当に、魔族の襲撃と、二つの魔力が関係あるのなら…」

夏要「…」

美去「やっぱり、忍び込むしかないわね」

夏要「えぇっ!…冗談ですよね?」

美去「いいえ、本気よ」

夏要「うっそー…」
 
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