Story...
□第七話 空族の証
2ページ/3ページ
○ 基地の周辺
保「うわーっ!」
那央、弓矢を構える。
那央「何してんだい保っ!」
那央、保に目掛けて躊躇いもなく矢を放つ。
保「ひやぁっ!」
保、頭を抱えてしゃがみ込む。
保の頭上を矢が通過し、その後を半泣き状態で見つめる。
保「スパルタだぁ…」
那央・弾斗、背後で呆然と保を見つめる。
弾斗「お前マジで鈍臭いなぁ」
保、地面に正座する。
保「すいません…」
那央「全く、アンタが生まれたのが安寿の代で本当良かったわよ。桂真さんだったら今頃…」
保「桂真さん?」
弾斗「安寿の前の族長だよ。すごかったんだぜ?術が使える奴と使えない奴で、全然扱いが違うんだ。力のある奴は、何から何まで優遇されるが、逆に力のない奴は即座に責め落とされる。あの人の代は、俺達も色々と苦労したんだぜぇ?なあ?」
ふーっと長い溜め息を溢す那央。
那央「そうね」
保、ゆっくりと立ち上がる。
保「初めて聞きました。そんな時代があったなんて」
那央「そのせいで、基地を出てった奴も大勢居てね。だから今が、歴代最少の人数ってわけ」
弾斗「考えてみりゃ、それが大本だったんだよな、この紛争は…」
保「えっ…」
那央・弾斗、表情が微かに陰る。
二人の様子に動揺を隠せない保。