共同作品
□出会う筈の無かった僕ら
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それは五日くらい前の話。
綯蔚菟はいつもの様に学校への道を歩いていた。
ヒコは理由があって一緒には来れなかったが、
初めてヒコと学校へ行ったあの日と同じ青空だった。
「・・・」
何故自分がこんなに気分のよくない日でも空が青いのか、
そんなどうでもいい事を考えながら、綯蔚菟が曲がり角を曲がろうとした。
そう、それは一人の少年によって遮られた。
ドンッ
ぶつかる音。
周りには殆ど誰も居なかったが、
その場に居た殆どの者は綯蔚菟と少年がぶつかった方向を見た。
「・・・ってーな、どこ見てんだよ、お前は。いきなりぶつかって来やがって」
少年は綯蔚菟に向かって少し強く言った。
「・・・あんたこそどこ見てる訳?」
綯蔚菟こそ、強い口調で言う。
曲がり角で人とぶつかるなんて殆ど無い事だろう。
今考えれば、二人の出会いは奇跡と言える。
「・・・あーあ、鞄の物ぐちゃぐちゃだし。お前のせいだかんな」
「黙って。拾ってやってるでしょ」
その出会いは喧嘩ばかりの物だった。
「・・・これ、教科書?貴方学校の生徒?」
「・・・お前こそ、その制服、どこぞの女子校のじゃないのか?」
そう、二人とも学校が別とは言え、学生なのであった。
それは青い空の下、突然起こった違う意味での奇跡。
まだ綯蔚菟の日記にはここから先も綴られている