Phantom

□第六章 悲しき世界の真実
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みさきが去ってから2分後ぐらいだろうか。
一軸が現れた。
「すまない。待たせたな。」
そう言いながら、軽く頭を下げた。
「それより、副指揮官とやらに会いたい。」
俺はとっとと用を済ませて早く帰りたい。
帰って、智也の母さんの料理が食べたい。
帰って夕日と遊んでやりたい。
そんな軽い気持ちでいた。
一軸は、「行くぞ。」とだけ
言って勝手に進んで行った。
俺たちは慌てて追いかける。
階段を上り、右へ曲がり
また階段を上り左へ曲がり
エレベーターらしきものに乗った。
花村と智也は息切れをしているが
俺と瀬山は、平気だった。
瀬山と同類と思われるのは嫌だが。
一軸が大きな扉の前で止まる。
その扉は、金色の竜と銀色の竜が
入り乱れた絵がはいっている扉だった。
「一軸椿です。4人を連れて来ました。」
そう扉に一軸が話すと、中から「入りなさい。」
と返事してきた。
きりっとした女の声。俺の苦手なタイプだと、すぐ分かった。
中に入ってみる。
やはり苦手なタイプだった。
目はきりっとしていて、黒い髪の毛は丁寧にお団子として
頭のてっぺんに整えられている。化粧もばっちりだな。
ちょっと、引く。
「引かないでちょうだい。少年。」
頭の中を読まれた!?
前にも、あったじゃないか。
確か、八雲・・・・
「貴方、出の事知っているの?」
!!!まただ。また読まれた。
俺、顔に出るタイプなのか?
「あの、すみません。なんで出の事を?」
皆が口を開けて間抜けつらをしていた。
そこに、一軸がぴしゃりと一言。
「八雲出は、副指揮官の弟さんだ。」
その一言が皆を硬直させた。
「え・・・・嘘ん・・。」
智也の一言が何だか情けなく感じた。
「うふっ。そんなに硬直する事ないじゃない。折角、
ここの事色々教えてあげようと思ったのに。」
その言葉で皆の肩がぴくっと反応する。
「教えてください。」
俺が。
「教えてー!!」
瀬山が。
「教えてもらえると嬉しいです」
花村が。
「教えてください!お姉さま!」
智也が。
「お姉さまなんて嫌よ。私は、八雲真紀よ。」
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