Phantom

□第十章 みさきとレノン
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どれだけ走っただろう。
敵の位置を探すのは一軸。
それを俺と智也が追いかける。
早い・・。一軸は足軽で木々を駆け抜ける。
忍者みたいだな。
走っている間に、俺は大剣をだし、智也は
木竜とランスをだした。
ランスの持つ部分には緑のエメラルドの宝石
がある事に気付く。よく見ると、俺のもある。
だが、青で、サファイアだ。
一軸の弓は確か。ああ。ガーネットだ。
走りながら、一軸に聞く。
「この、宝石、何?」
だが、一軸は
「いずれ分かる。」それしか言わず。
俺は少し腹が立つ。でも走る。
木々を抜けた先は、砂漠だった。
そこに、みさきと女が立っていた。
みさきより女は背が高く、緑の髪を
している。黒フード?砂漠でそんな。
ちょっとおかしな格好だった。
「ようこそ。地獄へ。」
みさきはニタリと笑い、手からノコギリ
を出す。技術科で言えば、両刃ノコギリ。
「あの・・・。逃げてくれませんか?」
え・・・・。
隣の女は何を言い出すんだ。
戦う気ゼロの発言だぞ。
「何言ってんの?!レノン!」
レノンって言うのか。結構大人しい系だな。
「私、戦いたくない・・・。でも魔女様の
命令だから・・・・。」
そう言って、目を潤わす。
でも、智也が容赦なく叫んだ。
「みさきぃぃぃっ!!俺と勝負だ!!」
そう言って、ランスを構える。
「いい度胸だね。君の相手は僕か。」
そう言ってノコギリを構えた。
レノンと言う女は少し違った。
いや、かなりか。
「逃げてくれないのですね・・・」
そう言って、黒のグローブに包まれた
手を前に出す。
「魔女様の為・・・・戦います。」
そう言って、みさきのほうに手を
向けた。
何をするんだ!?

ヴゥンッ

みさきとレノンは薄い黄緑のベールに
包まれた。
「これは私の力。結界です。」
そう言って、手を下に向けた。
何をするのだろう。誰もがそう思った。
「・・・えっと・・・。」
その手は迷っていた。
大丈夫か?こいつ。
「お前。攻撃出来なかろう。結界人だ。」
一軸がズバッと言った。一軸、お前
朝ズバの司会取れるよ。なんて思うが
気にしないでくれ。
「・・・いや・・・攻撃は出来るのですが
傷つけたくないのです。」
そうして、下を向いた。
「レノンー!ちゃっちゃっと殺しちゃえ!」
みさきが叫ぶとはっと、前を向いた。
「・・・魔女様・・・。」
それだけ言うと顔がキリっと真剣になった。
手を前に向ける。
俺とレノンの間に2重の結界が出来る。
場所間違えてないか・・・?

それは違った。
「まじょ・・・・さま・・・。」
涙をボロボロ流して、結界を上に上げた。
そうすると、まん丸2重の硬い硬い
球が出来た。おそらくコレを当てて攻撃を
するのだろう。
「おい。お前、あれ切れるか?」
一軸が言うが、今の俺じゃ無理だった。
「え。前みたく、赤い飴玉くれないの?」
俺が聞くが一軸は
「自分の力で何とかしろ。たわけ!!」
すごい、心の傷にからしを塗るぐらい、
痛かった。
「あんなでかいの切れってか。」
球は、中学校の半分ぐらいあった。
「切れぬのか。」
そう言って、弓を上に構える。
「しょうがない奴だ。」

シュンッ

弓を放った。前と同じ物。
ベールに包まれた。
「これ、何なんだ?」
俺が聞くと、珍しくまともな答えが返ってきた。
「これは、回復のドームだ。結界と違い、
1発大きな衝撃を受けると消えるのだ。」
なるほど。これで限界まで回復し、あの衝撃
をドームに受けさせるわけか。
「・・・それは、・・・回復のベール。
強い魔力に包まれている・・・。」
レノンは、右手の人差し指で球を更に大きくし、
左手で、とがった結界を作った。
「これは・・・・どうでしょう。」
そう言って、右手で俺たちの方に丸い大きな結界を投げた。
「だめだ!!あの大きな球にぶつかったら
回復のドームが消え、鋭い結界はあったってしまうぞ!!」
一軸がそう言ったのは遅かった。
一軸の言った通りになった。
俺たちに鋭い結界が刺さる。
急所はさりげなく避けたつもりだが、
200・・・いや、300発ぐらいは刺さった。
「ゲボっ・・・。」
血を吐いた。一軸も。
血の海とはまさに、この事だ。
「・・・すみません。命は助かるよう
頑張ったのですが・・・。」
そう言ってくれたのは嬉しいが、
ほとんど、体中ズタぼろだった。
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