Phantom

□第十一章 裏切り者
1ページ/2ページ

人形が動き出した。
「ルッタッター♪ルッタッター♪」
みさきから音が鳴る。
「ボクハミサキ。ホントウノスガタ。」
・・・本当の姿?
「マジョサマノタメ。
オマエラヲコロスノデース!ケケ!!」
笑い方が一段と不気味に変わる。
『・・・あほか。あやつは、魔女の手下。』
・・・みさきが踊り出す。
「ルッタッター♪ルッタッター♪」
奇妙な、ギクシャクした踊り。
『魔女は気に入ったものを永遠の命、
つまり人形に留めておくのだ。』
「ボクハ、マジョサマノオニンギョウ♪」
狂い出した人形はこちらを見つめている。
『気味が悪いな。』
「ケケケケケ♪」
笑うのも、踊るのも、何をしていても
気持ち悪い。ピエロとフランス人形を
混ぜて、2足して、1引いた感じ。

その頃の空はというと。
智也の事で頭がイッパイ。
一軸が智也の回復に向かったんだ。
智也は怪我をしている。
そう考えていた。自分は地面にうつぶせで
ズタズタだってのに。
椿は、もう一度弓を放ってドームを作った。
「回復・・・しなきゃ。」
椿も全身ボロボロだが、戦闘の経験の差か、
急所は免れていた。
向こうの敵、レノンは急に青ざめた顔で叫んだ。
「みさ・・き!?」
そう言って、結界を解除して、みさきの下へ
走る。それを俺はよろよろながらも追いかけた。
一軸も。
本当にこいつ、俺らの事を殺す気無いな。
そう思いながら走ったが、一軸がいなかった。
前方を見るとすでに智也の隣にいる。
「早っ」
それだけ言って、俺は呼吸を整えながら
走った。血が点々と地面につく。
そんなのは気にせず夢中で走る。
あれ・・・?
あることに気付く。
「はぁ・・・・はぁ・・・」
敵のレノンが隣で必死に走っている。
俺より先に走っていたのに。追いついたのか。
こいつ俺より足遅い。
レノンは手をブンブンに振ってあごを上げて
必死に走る。
やっとの思いでみさきの所へ辿りついた。
「みさきっ!!ああ・・・結界から飛び出し
たのね・・・・。」
そう言って、ボロボロに泣く。
「・・・ソノコエハウラギリモノ」
目を見てレノンに話す。
「・・・・え?」
「ウーラギリ♪ウーラギリ♪オマエハアイツ
ラトオナジダ!!ダカラ・・・・」
そう言って、手で握っているノコギリでレノン
の腹部を刺した。
「コローーーースッ!!」
みさきはけらけらと奇妙な笑いでレノンを
見つめていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ