Phantom

□第十六章 恋
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「椿。色々考えてるでしょ。」
出には誤魔化せなかった。
「いや・・・別に。」
出は私の事をよく見ている。
昔からの馴染みだからか。
「そんな事はない。」
こんな嘘をついても、
出は絶・・・「絶対に嘘だと見抜くだろう。」
出は、大きくため息をついた。
「何で、嘘だとばれる事を分かっていて
嘘をつくんだい?」
顔を覗き込む。
「私の事を空に話したくないんだ。」
私は正直に答えた。
「空って、長谷川君?」
「そうだ。聞いて欲しくないんだ。
聞いてしまったら絶対に同情をしてく
る。それが、私は嫌なんだろうな。」
出はくすくす笑い出す。
「椿・・・・、長谷川君の事が好きなんじゃ
ないの?」
突然言われた言葉に私は動揺してしまった。
「え!?そ・・・そんなわけ無いじゃないか!!」
「やっぱりね。僕がキスした時、椿の顔、
嫌がってた・・・ように見えた。」
出はにっこり笑顔で言う。
「そ・・・そんな事は・・・。」
そして、私は赤くなる。
「まだ、動揺してるし。」
「・・・。」
私は、空が好き・・・?
「この思いは止まらないのか。」
「止めたいの?」
「・・・だめなんだ。私が人を好きになって
しまうのは・・・。」
「何で?人を好きな気持ちは美しいよ。」
「・・・・・・・もういい。出。
気持ちに気付けただけでも十分だ。」
『つばきちゃーーーん?』
「!!!・・・夕日!雪!無事か?!」
『ゆうひはね、ぶじー。でもね、ゆきちゃ
んはないてるよー・・・?』
『な・・泣いてませんっ!夕日ちゃん!
やめてよ・・・。恥ずかしいっ!』
「手紙は手に入れた。赤の城に戻るぞ。」
『はーい。じゃあ、さっきにもどってるよ』
『沙里奈と椿は足早いからね。』
「僕もいますよ。花村さん」
『へ・・・・えっと・・・八雲君?』
「当たりです。」
『・・・う・・・ん分かったよ・・・。』
花村は反応に困るのが分かった。
ああ。また、皆の笑顔が見れるんだ。
今の事は良いじゃないか。


空の事が好き・・・とか。
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