共同作品

□赤い髪は悪夢の予感
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今日は非常に、最悪だ。
遅刻はするし、そのうえ
マイペース智也が付いてくる。
遅刻しているというのに、
全くもって走らない。
「空ぁ。もう、無理だって。走ったって。」
智也は、暢気に後ろから話しかけてくる。
それでも、俺に置いていかれないようにたまに
小走りになるのは、なかなか面白い。
「遅刻は遅刻だ、分かってるよ。
でも努力はしようぜ。」
俺はやっぱり、走り続る。
遅刻なのは、百も承知だ。
しかし、少しでも頑張りましたという感じになれば
先生だって人間だ。
少しは刑を軽くしてくれるだろう。
「ほら、走れって・・・え、うわっ」
何かが空の目の前を横切りしりもちを付いた。
「痛ッ・・・」
智也が心配して寄ってくる。
「おい、大丈夫かよ」
見た目的には、そうでもないのだが
非常に尻が痛い。
相手はどんな奴か見てやろうと顔を上げると、
赤い髪をなびかせた女が凛々しく立っていた。
「おい、どこ見てやがる。危ねぇじゃねぇか」
どぎつい言葉を浴びせてくる。
それでも顔は可愛い、なんて思ってしまうのは
俺が男だからだろうか。
謝罪でも述べようかと立ち上がりかけたとき、
首筋につめた何かがひんやりと当たった。
「おい、謝罪もねぇのかよ。ぶち殺すぞ、てめぇ」
俺の予想では、この首筋に当てられているのは間違いなく
刃物だと思う。
銃刀法違反で、よく捕まらなかったものだ。
「聞いてんのか?何か言えよ!」
・・・とは言ったものの。
俺は今までに散々な目に合ってきたものだから
これぐらいで驚かない自分が怖い。
あまり、迫力に欠けていた。
「いや・・・謝る暇も無かっただろ。」
ぼそりと呟くと女は顔を真っ赤にして
うるせぇと一言残し、スタスタと去ってしまった。
全く、赤い髪にろくな奴はいないな。
「大丈夫か、空。」
智也がどこからともなく出てくる。
「お前、俺が危険な目に合ってたんだぞ、
助けてくれるのが友人ってものじゃないのか?」
智也はポリポリと頭をかきながら、照れている。
「だって、ああいう、怖い女の子苦手だし。
ずっと隠れて見ていたよ」
俺は我慢出来ずに、智也に一発かましてしまった。
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